試験が近づいてきましたので、出題内容によって考えるポイントを整理する「確認ドリル」を行います。本日のテーマは「換気設備」です。空調設備との関係性を考慮して、理解を深めるようにしましょう。
ポイントの整理
(問題)浴室および住戸の空調設備・換気設備について、考慮したことは?
記述の前に、重要なポイントを整理します。
空調方式と換気設備の要否
換気設備が必要な空調方式・・・室内温度を調整するだけで空調自体に換気機能がない。
- 空冷ヒートポンプパッケージ方式(マルチ型、床置きダクト接続型、天井隠蔽ダクト接続型)
- ファンコイルユニット方式
換気設備が不要な空調方式・・・空調設備自体に外気を供給する機能がある。
- 単一ダクト方式(定風量、変風量)
換気設備と空調方式の組合せ
空調方式と換気方式の代表的な組合せを整理します。空調方式を採用する場所によって組合わせる換気設備を選択します。
- 空調方式:空冷ヒートポンプパッケージ方式、換気設備:全熱交換器
- 空調方式:空冷ヒートポンプパッケージ方式、換気設備:顕熱交換器
- 空調方式:ファンコイルユニット方式、換気設備:外気処理空調機
換気設備の特徴
採用すべき換気設備について、それぞれの特徴をまとめます。
- 換気時に排気する空気から温度(顕熱)と湿度(潜熱)を回収し、給気する空気に戻す。
- 室内を一定の温度・湿度に保ちやすい。
- 匂いが室内にこもるため、浴室やトイレ等の湿気や匂いの強い空間では採用できない。
- エネルギー回収するため、省エネルギーである。
- 換気時に排気する空気から温度(顕熱)のみを回収し、給気する空気に戻す。
- 湿気や匂いを回収しないため、 浴室やトイレ等の湿気や匂いの強い空間でも採用できる。
- 夏場は屋外の湿気が入り込みやすく、冬場は室内が乾燥気味になる。
- エネルギー回収するため省エネルギーであるが、全熱交換器には劣る。
- 必要換気量が多い場合、給気する空気の温湿度を調整して供給する。
- 建物全体の換気を担う。
- 外気を室内環境に近づけて供給するため、空調負荷が増加しない。
- 換気のため室内空気環境に外気を近づけるためエネルギーを使うが、冷暖房のため使用する空調エネルギーのほうが大きいため省エネルギーである。
換気種別
念のため、換気種別の特徴を確認しておきます。
換気方式 | 特徴 | 採用場所 |
第1種換気方式 | 給気、排気とも機械換気 | どこでも |
第2種換気方式 | 給気は機械換気、排気は自然排気 室内が正圧になる | クリーンルーム、手術室等 |
第3種換気方式 | 給気は自然給気、排気は機械換気 室内が負圧になる | 厨房、トイレ、浴室等 |
記述例
(問題)浴室および住戸の空調設備・換気設備について、考慮したことは?
場所:浴室、空調方式:空冷ヒートポンプパッケージ方式、換気設備:顕熱交換器
場所:住戸、空調方式:空冷ヒートポンプパッケージ方式、換気設備:全熱交換器
場所:住戸、空調方式:ファンコイルユニット方式、換気設備:外気処理空調機
解説
浴室の空調設備に空冷ヒートポンプパッケージ方式を採用し、季節や利用状況に合わせてきめ細やかに温度調整できるようにした。換気を顕熱交換器で行い、換気による温度変化を抑えながら、浴室内の水蒸気とにおいを排気する計画とした。
住戸の空調設備に空冷ヒートポンプパッケージ方式を採用し、個別制御が可能なものとした。
住戸の換気設備に全熱交換器による第1種換気方式を採用し、省エネルギー性に配慮した
住戸の空調設備にファンコイルユニット方式を採用し、室毎にきめ細やかな温度制御ができるようにした。
換気を外気処理空調機にて行い、多くの換気量を確保しても空調負荷が増大せずに、新鮮空気を供給できる計画とした。
本日のドリルはここまでです。
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