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確認ドリル(計画⑦)「防火区画、延焼の恐れのある部分」

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試験が近づいてきましたので、出題テーマによって整理すべきポイントを確認する「確認ドリル」をお送りします。本日のテーマは、「防火区画」です。この内容は近年よく出題されるので、確実に解答できるようにしましょう。

目次

ポイントの整理

(問題)高齢者介護施設で防火区画について工夫したことを述べよ

まずは重要なポイントを整理します。

「防火区画」には、大きく分けて「面積区画」「竪穴区画」があります。それぞれの特徴を確認します。

面積区画
  • 1,500㎡以内に、床・壁を耐火構造で区画する。
  • 吹抜け、階段、EVシャフト等の開口部に特定防火設備を設ける。
  • 竪穴区画と面積区画を兼ねる場合には、特定防火設備で区画する。
面積区画の例1  各階を水平区画(断面図)
面積区画の例2 東西を面積区画(断面図)
竪穴区画
  • 吹抜け、階段、EVシャフト等とその他の部分を区画する。
  • 開口部には防火設備を設ける。
  • 竪穴区画と面積区画を兼ねる場合には、特定防火設備を設ける。
  • 外壁面については、RC造の袖壁で竪穴区画を形成できる。
竪穴区画の例(断面図)

なお、一般的には面積区画を特定防火設備、竪穴区画を防火設備で区画しますが、特定防火設備は防火設備よりも上位仕様になりますので、防火設備の代用品として設けることができます。特定防火設備は防火設備と比較して、経済性には劣りますが遮炎性能に優れますので、火災時に高齢者の避難時間を稼ぐため、あえて特定防火設備を設けることもできます。

次に、「延焼の恐れのある部分」についてまとめます。

防火地域・準防火地域では、道路中心線または隣地境界線からの距離が、1階で3m以内2階以上で5m以内となる場合、外壁の開口部に防火設備を設ける必要があります。代表的な防火設備には網入りガラスがあります。

ただし、防火上有効な公園、広場、川等の空地や水面、耐火構造の壁などに面しており延焼の恐れがない場合には、開口部に防火設備を設ける必要はありませんので、周辺環境をしっかり確認するようにします。

延焼の恐れのある部分 イメージ図

最後に、防火区画をダクトや配管が貫通する場合の処理方法をまとめます。

区画貫通部の処理等
  • 換気設備や空調設備のダクトが区画を貫通する場合、防火ダンパーを設ける。
  • 防火ダンパーは煙感知器と連動させることで、確実兼速やかに動作するようにする。
  • 配管が防火区画を貫通する場合、貫通部の配管を不燃材料とし、モルタルなどで隙間を埋める

記述例

(問題)高齢者介護施設で防火区画について工夫したことを述べよ

防火区画

階段及び吹抜けの2、3階部分に特定防火設備を設置し、各階を水平区画することにより、区画内の床面積が1,500㎡以下となるように計画した。また、階段及び吹抜けの1階部分には、竪穴区画のための防火設備を設置した。

階段、EVホールおよび吹抜けは竪穴区画と面積区画を兼ねるため、特定防火設備の防火シャッターと防火扉で区画した。

1階の階段出入口は法令上、防火設備で足りるが、あえて特定防火設備で区画することで、一定時間、高齢者が階段室で救助を待てるようにした。

  :計画内容   :理由

延焼の恐れのある部分

延焼のおそれのある部分の外壁開口部には、防火設備である網入りガラスを設け、延焼の拡大防止を図った。

  :計画内容   :理由

区画貫通部の処理等

区画貫通部のダクトを防火ダンパー付とし、火災報知器と連動させることで、火災発生時、速やかに防火区画を形成できるようにした。

防火区画貫通部の配管を不燃材料とし、周囲をモルタルで充填することで、確実に防火区画を形成できるようにした。

  :計画内容   :理由

本日のドリルはここまでです。しっかり理解して法令違反とならないように気をつけましょう。

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この記事を書いた人

二級建築士取得後、一級建築士試験に挑戦。
学科合格後に某資格学校に通うも製図試験で2度不合格、その後、通信でなんとか製図試験に合格。
電気主任技術者二種、エネルギー管理士(電気)、建築設備士の資格を持つため、得意分野は設備です。

コメント

コメント一覧 (3件)

  • いつも拝見させていただいております。
    今回の延焼ラインに関することで質問してもよろしいでしょうか。

    道路(歩行者専用含む)を挟んで公園がある場合、延焼ラインは必要でしょうか。
    平成30年試験標準解答例をみると延焼ラインはありませんが、
    法規のどこを調べても道路を挟んで公園の場合は延焼ラインなしという緩和規定は見当たりません。

    どのように理解すればいいのか迷っています。

    • 記述研究所のミドです。
      いつもブログを見ていただき、ありがとうございます。
      ご質問の件について、解説させていただきます。

      まず、歩行者専用道路は建築基準法上の「道路」に該当しますので、道路中心線からの延焼ラインが生じます。
      法規は以下を参考にしてください。

      ・建築基準法・・・法42条第1項1号「道路法による道路」
      ・道路法・・・道路法第48条の14第2項「道路法による歩行者専用道路」

      次に、H30の公園に延焼ラインが生じるかを検討するにあたっては、
      「建築基準法第6号 延焼の恐れのある部分」の除外規定に該当するかが論点になります。
      ここでは、「ただし、防火上有効な公園・・・・を除く」とありますので、
      問題用紙に「防火上有効な」という表記があれば、100%延焼ラインが生じませんが、
      H30の問題用紙では、単なる「公園」表記でしたので、明確に判断することはできません。
      (民有地であれば、将来、公園が無くなり建物が建つ可能性があるため)

      ただし、試験においては、H30の試験元の標準解答例で延焼ラインが生じないと解説されていますので、
      単なる「公園」表記であった場合、防火上有効な公園と解釈すべきであると思います。
      その場合、図面上に「防火上有効な公園であると解釈し、延焼ラインが生じないものと判断した」と
      補足説明をしておけば、試験元に法令を理解していることがアピールできると思います。

      長くなりましたが、結論としては、
      ・歩行者専用道路・・・建築基準法上の道路であるため、基本的には延焼ラインが生じる
      ・公園・・・防火上有効な公園と解釈すれば、除外規定により延焼ラインが生じない
      ・歩行者専用道路の向かい側に公園・・・公園が除外規定に該当するため、延焼ラインは生じない

      となります。

  • ミド様

    お忙しいところご回答をありがとうございます。

    道路(歩行者専用含む)を挟んで向かい側に防火上有効な公園があれば、
    その道路からは延焼ラインは生じない!ということですね。

    丁寧にご説明いただきよく理解できました。
    ありがとうございます。

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