照明設備では、照度基準、照明方式、照明器具の知識が必要です。本年の課題は、高齢者介護施設ですので、高齢者が過ごしやすいように照明設備を計画する必要があります。用語を正確に理解して作図や記述に活かせるようにしましょう。
照度
照度については、建築物の用途と室によりJISで推奨照度が定められています。 高齢者介護施設についての明確な基準はありませんが、視力が落ちた高齢者でも過ごしやすいように、通常必要とされる照度よりも明るめに設計するようにします。高齢者介護施設の主な室についての留意事項を以下にまとめます。
- 食堂、デイルーム・・・ 温かみのある色で部屋全体を明るくして利用者が利用しやすくする。
- 住居、寝室・・・落ち着いた雰囲気になるよう、照度調整できるようにする。
- 階段・・・足元を明るくして段差を分かりやすくする。
全般照明
全般照明とは、部屋全体を明るく照らすための照明設備です。全般照明の計画においては、部屋全体が均一な照度となるように、照明器具をできるだけ均等な間隔で設置するようにします。
高齢者介護施設においては、高齢者は周囲の明るさの急激な変化に適応することが難しいので、できるだけ照度変化が少なくなるように計画します。例えば、ホールから廊下に徐々に照度を落として計画すれば、高齢者が視認しやすい施設になります。
局部照明
局部照明とは、全般照明を補完するため局所的に設置する照明設備です。台所の手元照明、デスクのスタンド照明、絵画を演出するスポット照明等があります。 住居内には、夜中目覚めた時にまぶしさを感じないように、局部照明として深夜用の足元灯を設けるようにします。
タスクアンビエント照明
タスクアンビエント照明とは、 全般照明(アンビエント照明)と居部照明(タスク照明)を併用する方式のことです。全般照明の照度を低く設定して必要な場所のみを局部照明で明るくすることにより、省エネルギー効果を得られます。 ただし、照度の差が大きくなると目が疲れやすくなるため、全般照明は局部照明の1/2程度の照度で設計するようにします。
間接照明
高齢者は視力が落ちるため、照度が必要になります。しかし、照明が直接目に入る場合の「不快グレア」は若い人に比べて感じやすくなります。このため、目に直接光が入らない間接照明を使用し、不快グレアを抑えるようにする工夫も必要です。
LED照明器具
LED照明器具とは、LED( Light Emitting Diode )という発光ダイオードを用いた照明器具です。従来使用されていた蛍光灯や白熱電球と比較して、省エネで長寿命であることが特徴です。高齢者は照明器具の交換が困難なため、特別な理由がない限り、照明器具にはLED照明器具を採用し、長期にわたって電球を交換することなく使用できるようにします。
人感センサー
人感センサーとは、文字どおり人を感知するセンサーのことをいいます。センサーには赤外線を使用することが一般的です。照明器具と組み合わせることで、人が通った時に照明をつけることができます。トイレ、倉庫、管理用廊下等、人通りが少ない場所で採用し、必要のない時には消灯することで省エネルギーになります。
また、高齢者は明るさの違う場所に行った際、目が順応するのに時間がかかります。明順応、暗順応できるように早めに点灯するようにし、照度を緩やかに可変させると優しいです。
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