一級建築士製図試験における記述部分である「計画の要点等」は、「計画」「構造」「設備」「環境負荷低減」の分野から出題されています。
今回は、記述試験が本格的に出題されるようになった平成21年度からの過去の出題傾向を分析することによって、各分野の項目別優先順位を確認して、効率的な学習順序を検討します。
今回の分析分野は、「構造」です。
出題傾向分析表
H27~R1 | R1 | H30 | H29 | H28 | H27 |
構造、架構、スパン | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
部材寸法 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
基礎構造 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 ※免震 | |
地下構造 | 〇 | ||||
振動、騒音配慮 | 〇 | ||||
天井落下防止 | 〇 | ||||
目標耐震性能 | 〇 | ||||
屋上庭園の断面計画 | 〇 | ||||
出題数 | 3 | 4 | 4 | 4 | 4 |
H21~H26 | H26/沖縄 | H25 | H24 | H23 | H22 | H21 |
構造、架構、スパン | 〇/〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
大空間等の構造 | ー/〇 ※吹抜 | 〇 | 〇 | |||
勾配屋根 | 〇/- | 〇 | ||||
耐震計画 | 〇 | |||||
スラブ、小梁の 架け方 | 〇 | |||||
出題数 | 2/2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
※ 平成26年度は台風の影響により、沖縄県の試験は別日に開催されています。
表にまとめてみると、平成27年度を境に構造分野の出題数が増えているのがわかります。これは平成27年度から要求図面に梁伏図がなくなったため、計画の要点で構造に関する知識を問うようになったと考えられます。
構造、架構、スパンは毎年出題
構造分野の中で最もよく出るのは「構造種別、架構形式、スパン割り」に関する問題で、毎年必ず出題されています。この問題は、文言を丸暗記することで得点源となります。計画の要点対策として、最初に手をつけましょう。
「構造種別、架構形式、スパン割り」については、建築物全体に対して問われる場合と、個別の大空間室に対して問われる場合があります。例年、この両方またはどちらか一方の出題となっていますので、どちらにも対応できるように覚えましょう。
近年必ず出題の部材寸法
次に、平成27年以降必ず出題されているのが、「主要な部材の断面寸法」に関する問題です。平成27年度以降、梁伏図を要求しない代わりに、架構の知識を問うために出題されていると思われます。
この問題の対策としては、 梁伏図を思い浮かべながら暗記したものを解答すればよいです。また、大空間室の部材寸法(PC梁等)についてもよく出題されますので、確認しておきましょう。
基礎構造も頻出項目
その他の頻出問題としては「基礎構造」に関する問題があります。基礎形式はベタ基礎で対応できる場合がほとんどです。
平成27年度のみ免震構造が出題されていますが、課題発表の時点で「免震装置」の採用を提示されていました。
課題発表の時点で触れられない場合は、余裕のある時のみ学習してください。
杭基礎や地盤改良については免震装置よりも出題される可能性が高いので、ベタ基礎の記述を完璧にしてから確認しておきましょう。
その他
頻出問題である「構造、架構、スパン」「部材寸法」「基礎計画」のほかには、毎年様々な新規問題が出題されています。
まずは、過去の傾向と同様の問題については取りこぼしの無いようにしましょう。
新規問題については、製図課題発表の際にヒントとなるキーワードが必ず含まれています。そのキーワードを中心に周辺知識も含め、様々な問題に対応できるようにしましょう。
まとめ
以上、「構造分野」の過去問出題状況を分析しました。
この分野では「必ず出題される問題」が存在します。
この問題を落とすと合格から大きく遠ざかりますので、まずは頻出問題を確実に解答できるようにしましょう。
構造分野については、下記の学習順序がおすすめです。
1.構造種別、架構形式、スパン割
2.主要な部材の断面寸法
3.基礎構造
4.問題発表時の新出キーワード
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