一級建築士製図試験における記述部分である「計画の要点」は、「計画」、「構造」、「設備」、「環境負荷低減」の分野から出題されています。
記述試験が本格的に出題されるようになった平成21年度からの過去の出題傾向を分析し、効率的な学習順序を考えるシリーズです。
今回の分析分野は、「環境負荷低減」です。
出題傾向分析表
H27~R1 | R1 | H30 | H29 | H28 | H27 |
自然採光 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
自然通風 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
日射遮蔽 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
空調負荷抑制 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
省エネ | 〇 | ||||
出題数 | 2 | 2 | 1 | 2 | 0 |
H21~H26 | H26/沖縄 | H25 | H24 | H23 | H22 | H21 |
自然採光 | 〇/- | 〇 | 〇 | | ||
自然通風 | 〇/〇 | | ||||
日射遮蔽 | 〇/- | 〇 | 〇 | | | 〇 |
空調負荷抑制 | 〇/〇 | 〇 | | | 〇 | |
省エネ | | | | 〇 | | 〇 |
出題数 | 1/1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 |
※ 平成26年度は台風の影響により、沖縄県の試験は別日に実施されています。
近年の環境負荷低減に関する問題は、自然採光、自然通風、日射遮蔽による空調エネルギーや照明エネルギーの削減が中心です。これらは今後も必ず出題されると考えてよいでしょう。
この分野は、年度によって問題の切り口は多少変わるものの、基本的な解答内容は同じでよいので、対策はそれほど難しくありません。
パッシブデザインとアクティブデザイン
環境負荷低減には、 パッシブデザイン(建築的設計手法)とアクティブデザイン(設備的設計手法)があります。
自然採光や自然通風など、機械設備を利用せずに風や太陽光などの自然エネルギーを積極利用する設計手法を パッシブデザイン(建築的設計手法)といいます。
太陽光発電や地熱利用など、機械設備を用いて省エネルギーを実現する設計手法を アクティブデザイン(設備的設計手法)といいます。
設備的設計手法に関する問題は、平成28年度以来出題されておらず、最近はパッシブデザインが要求されます。
平成29年度は「建築物に採用したパッシブデザイン」という出題で、問題文に「太陽光パネル、太陽熱集熱器を含めない」と注意書きがありました。
補足図の練習が必須
最近の環境負荷低減分野の問題では、必ずと言っていいほど解答欄に補足図を記入できるスペースがあります。平成30年度までは「図で補足してもよい」と書いてありましたが、令和元年度からは「必ず記入すること」と変化しました。
よって、補足図を記入しないことは「未完成」となってしまいます。
計画の要点の補足図は、ポイントを押さえた分かりやすいイラストを、素早く書く必要があるので、普段から練習しておくとよいでしょう。
まとめ
以上、環境負荷低減分野の分析でした。
この分野は近年、2問は出題される頻出項目です。解答としては、決まり文句的な部分が多いので、確実に得点できるように対策しましょう。
おすすめの学習順序は下記のとおりです。
1.自然採光、自然通風、日射遮蔽 + 補足図
2.過去に出題されている設備的手法 + 補足図
3.その他省エネ
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