こんにちは、源です。当研究所では添削室を開設し、モニターさんから解答を見せていただくことで受験生の皆さんが不得意な部分についての研究を始めています。
今回は「空調設備」について問われた時の解答方法です。自分の解答をチェックする際には、参考にしてみてください。
まず、下記の解答を自分が解答を添削するつもりで読んでください。
設問:高齢者介護施設であることを踏まえ、空調計画で工夫したことを記述しなさい(イメージ図必須)
では、改善すべき点を確認していきます。
設問:高齢者介護施設であることを踏まえ、空調計画で工夫したことを記述しなさい(イメージ図必須)
①各諸室の利用時間が異なるため個別制御性や省エネルギー性に優れた空冷ヒートポンプパッケージ方式ビルマルチ天井カセット方式を採用した。②空冷ヒートポンプパッケージ方式は換気機能がないため、外気処理空調機を屋上に配置し、各階にDSを計画した。
解答の流れを追ってみます。解答例では下記の二つの文で構成されています。
①空調方式の選択について
空冷ヒートポンプパッケージエアコンを採用し、その理由を書いています。
②換気機能について
空調計画を問われていますので、換気についても書いています。
③設問の記入漏れ
今回の設問は「高齢者介護施設であることを踏まえ」とありますが、高齢者介護施設であることに触れた記述がありません。
それでは解説をします。空調計画について問われた時、考えることは以下の項目です。
- 空調方式を選択した理由
- 選択した空調方式に換気機能があるかを確認
- 選択した方式の応じた機器配置、シャフト計画
まず、空調方式に空冷ヒートポンプパッケージエアコンを、換気設備に外気処理空調機を選択していますので、それぞれの特徴と選択理由を確認します。
外気処理空調機の選択理由
外気処理空調機のメリットは、常に新鮮空気を居室に導入できることです。また、温度、湿度を調整することができ、十分な空気量を室内環境に近いものとして供給するため、空調負荷がほとんど増加しません。
高齢者介護施設においては、居室の空気汚染防止やウィルスなどによる感染リスク低下が重要です。外気処理空調機は新鮮空気を常に供給できるため、感染リスクを低下することが可能となります。また、通常は換気に伴い空調負荷が増加してしまいますが、外気処理空調機では増加しません。
全熱交換器も省エネルギーな換気設備として採用されますが、外気と室内空気の温湿度を交換するため、室内に給気される空気は、室内温度よりも外気寄りになり空調負荷は増加してしまいます。また、外調機に比べて換気量も少なくなってしまいます。
以上から、外気処理空調機は「多くの人が訪れる施設であるため、多量の新鮮空気を温湿度調整して供給できることから、空調負荷を増大させずに換気可能な方式として採用した。」といえます。
イメージ図は、空調設備について書いてあると思いますが、必要な情報が記入されていません。
まず、換気設備についてです。ダクトから室内へ外気を供給してることも説明しましょう。空冷ヒートポンプチラーは熱源であり、外気処理空調機から外気を供給します。本来は外調機からダクトへ送風するため、図の位置関係が逆になっていますので、外調機をダクト側に配置します。

また、空調設備用として、別途、室外機が必要となるので屋上に配置します。ビルマルチ型ですので、複数の室内機に対して、一台の室外機が接続されます。今回は屋上に室外機を設置しましたので、冷媒配管を室外機から空調用パイプシャフトを通じて、各階の天井カセットまで通します。

以上をまとめ、今回の設問に答えるべき内容は
- 外気処理空調機を導入し、居室の空気を新鮮に保つ計画とした
- 省エネ、個別制御性から空冷HPPビルマルチ型天カセ方式を採用した
それでは、解答を修正してみます。
設問:高齢者介護施設であることを踏まえ、空調計画で工夫したことを記述しなさい(イメージ図必須)
当所作成解答では、高齢者介護施設である点を踏まえて記述しています。問われていることには、必ず答えるようにしましょう。
各空調方式の特徴、形式を覚え、適切な設備計画をしましょう。
本日のお便りはここまでです。なお、確認ドリルにて「空調設備」の記事を10月1日、「換気設備」を10月2日にお送りします。これらも確認してください。
いままでのお便りはこちらです。
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