記述問題を解答するときに、一番始めに確認してほしいことは「留意事項」です。ここには、記述を解答するためのヒントがたくさん詰まっているからです。
今回は、このことを踏まえ、記述と留意事項の関係について説明します。
問題文内容確認
「設計製図の試験」問題用紙の構成は下表のとおりです。
項目 | 説明内容 |
Ⅰ.設計条件 | 課題のテーマと目的 |
1.敷地及び周辺条件 | 敷地や周辺状況の条件 |
2.建築物 | 建築物の詳細条件 |
3.その他の施設等 | 屋外施設、駐車場等条件 |
4.留意事項 | 特に留意する事項 |
Ⅱ.要求図書 | 記入方法 |
1.要求図書(答案用紙Ⅰに記入) | 要求図目の詳細 |
2.面積表(答案用紙Ⅰに記入) | 面積記入方法 |
3.計画の要点等(答案用紙Ⅱに記入) | 計画に関する具体的設問 |
平成30年からの問題用紙は、A3用紙から2倍のA2用紙に変更されました。この変更に伴い、問題の情報量も増えています。
留意事項
留意事項では、設計条件の「敷地及び周辺条件」、「建築物」、「その他の施設等」にて提示したものの中で、特に留意すべき点を示しています。
「建築計画、構造計画及び設備計画については、次の点に留意して適切に計画する。」とし、各点について説明しています。
計画の要点等
計画の要点等では、要求図面だけでは設計者の意図が確認しきれない部分を、図面とは別に記述させることで、採点者が確認したいことを質問しています。
「建築計画、構造計画及び設備計画について、各項目の要点等を具体的に記述する。なお、要求図面では表せない計画についても記述する。」とし、例年、10問の設問があります。
「留意事項」と「計画の要点等」の共通点
計画の要点等で問われている建築、構造、設備の各計画については、留意事項において特に留意して適切に計画するように求めている各計画と同じです。
このため、計画の要点等で問われていることのうち、留意事項で触れられている部分が結構、存在するのです。
過去の出題における例
平成27年(市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅)を例に考えます。この年は中核都市に立地する5階建て基準階方式の高齢者向け集合住宅の問題でした。特徴としては、事前の課題発表で出された「基礎免震構造を採用する」ということです。
計画の要点等で問われている部分で、留意事項にて触れられており関係性のあるものを挙げます。
住宅部門、デイサービス部門及び共用部門を適切にゾーニング、明快な動線計画、災害時の避難等
①住宅部門のセキュリティ管理及び平面計画(3階)
⇒「災害時の避難」について記述します
②デイサービス部門において、利用者、スタッフ等の動線及び要求室の配置
⇒「明快な動線計画」を具体的に説明します
自然採光及び自然通風を積極的に取り入れる、日射の遮蔽
③エントランスホールの計画において、その位置とした理由及び吹き抜けを活かした空間計画
⇒「自然採光」「自然通風」「日射遮蔽」について記述します
まとめ
エスキス段階では当然ですが、記述に入る前に今一度、留意事項に目を通してみて、記述問題にて解答すべき点を読み落としていないかを確認しましょう。
時には、ほぼ答えのようなことが留意事項に見つかることもあります。
記述解答における文章作成に関しては、こちらもご覧ください。
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