一級建築士試験「設計製図の試験」では、与えられた設計条件の建築物を計画し、設計図書等を作成することで、「知識及び技能」の判定がなされる試験です。
製図試験の合格判定では最終的に1点の争いになりますが、最後の決め手は「記述力」です。合格ボーダーライン付近では製図での点差がつきにくいため、記述での点差が合否に影響します。
試験結果は4段階で評価され、近年の分布は下表のとおりです。
ランクⅠ | ランクⅡ | ランクⅢ | ランクⅣ | |
H30 | 41.4% | 16.3% | 16.5% | 25.9% |
H29 | 37.7% | 21.2% | 29.9% | 11.2% |
H28 | 42.4% | 27.1% | 20.7% | 9.7% |
データ出典:各年における国土交通省発表資料[一級建築士試験「設計製図の試験」合格基準等について]
- ランクⅠ:「知識及び技能」を有する(合格)
- ランクⅡ:「知識及び技能」が不足している(不合格)
- ランクⅢ:「知識及び技能」が著しく不足している(不合格)
- ランクⅣ:設計条件・要求図面の対する重大な不適合(不合格)
合格者の判定は「知識及び技能」が著しく不足している図面以下のもの(ランクⅢ、ランクⅣ)を除き、ランクⅠとランクⅡ候補の中から振り分けが行われます。
ランクⅢ以下として判定された図面において、未完成、重大な不整合、大きな条件違反は除外されいますので、ランクⅠ、Ⅱ候補の図面では各図面の完成度に大差はありません。
記述問題(計画の要点等)の配点は4~5割といわれていますので、100点満点とした場合、40~50点となります。設問数は10問のことが多いので、1問あたりの配点は4または5点と予想されます。
このことから、記述問題では1問答えるだけで4・5点得点できます。製図で同じ得点差つけるには、非常に多くの労力を要します。
記述においてはライバルよりも1問多く正解するだけで大きく合格に近づくことができます。
また、記述時間に要する時間は約1時間なので、試験時間全体の6時間30分における重要度の割合は非常に高いです。
記述は「作図」や「エスキス」と違って、素早く実力が養えます。
記述は合否を大きく左右するため、おろそかにしてはいけません。
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