【一級建築士製図試験】計画の要点等 特定天井

一級建築士試験の「計画の要点等」では、大空間の室を要求されることが多くあります。この際には、天井高さが高いものとされることも多く、「特定天井」として配慮しなければなりません。
今回は、特定天井について記述する場合についてまとめました。
吊り天井 隙間なし天井
問題
大空間居室の天井について、天井落下防止対策について考慮したことを述べよ。
解説
特定天井とは
地震による脱落によって重大な危害が生じる天井のことを特定天井といいます。具体的には、以下のすべての条件に当てはまる吊り天井が特定天井です。
- 天井の高さが6mを超える
- 面積が200㎡を超える
- 天井の質量が2kg/㎡を超える
- 居室、廊下等、人が日常利用する場所に設置されている
特定天井には吊り天井(隙間あり天井)と隙間なし天井があります。試験で特定天井が出題された場合は、どちらかの天井を選定して回答します。
吊り天井(隙間あり天井)
吊り天井は、天井と壁との間に隙間を設け、斜材・吊り材で天井と躯体を緊結することで、地震発生時に天井が壁と接触して脱落することを防ぐ構造になっています。
吊り天井は以下の条件を満たす必要があります。
- 吊り材は1本/㎡以上をつり合い良く配置する
- 斜材をV字状に必要組数をつり合い良く配置する
- 吊り材及び斜材は埋込みインサート、ボルト等により構造耐力上主要な部分に緊結する
- 天井面構成部材は20kg/㎡以下とする
- 吊り長さは3m以下で、おおむね均一とする
- 天井と壁との間に6㎝以上の隙間を設ける
- 天井面に段差を設けない
隙間なし天井
隙間なし天井は、天井と周囲の壁との間に隙間を設けず、地震時に天井に生じる地震力を周囲の壁に負担させることで、天井の落下を防ぐ構造となっています。
また、地震時に天井が周囲の壁に追従するように、天井裏に斜材を設けないこととされています。
天井と壁との間に隙間がないため、埃が天井裏に入りにくく、メンテナンス性に優れます。
隙間なし天井は以下の条件を満たす必要があります。
- 吊り材は1本/㎡以上をつり合い良く配置する
- 斜材を設けない
- 吊り材は埋込みインサート、ボルト等により構造耐力上主要な部分に緊結する
- 天井面構成部材は20kg/㎡以下とする
- 吊り長さは1.5m以下で、おおむね均一とする
- 天井と壁との間に隙間を設けない
- 天井面に段差を設けない
- 天井面を貫通し一体的に振動しない部分[空調ダクトなど]との間に隙間を5㎝以上設ける
解答
吊り天井
吊り材を1本/㎡以上で、 斜材をV字状につり合い良く配置した。 吊り材及び斜材は埋込みインサート、ボルト等により天井スラブに強固に緊結し、天井の落下を防止した。
天井面構成部材を20kg/㎡以下とするとともに、吊り長さを3m以下となるようにし、天井材の重量による落下を防いだ。 天井と壁との間に6cm以上の隙間を設け、地震時に天井と壁等が接触しないようにした。
隙間なし天井
メンテナンス性を考慮して天井と壁との間に隙間を設けず、天井に生じる地震による応力を壁や天井スラブで負担する構造とした。
吊り材は1本/㎡以上をつり合い良く配置し、天井材を均等に支えるようにした。吊り長さを1.5m以下とし、斜材を設けないこととした。
空調用ダクトとの間に5㎝以上の隙間を設け、地震時に天井とダクトの接触による天井落下を防止した。
隙間あり、隙間なしのどちらかの特徴を良く覚え、採用できるようにしておきましょう。
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