一級建築士製図試験勉強の始め方

学科試験を突破して安心したのもつかの間、次には製図試験が待ち受けています。時間は待ってくれませんので、早めに準備に取り掛かりましょう。今回は、製図試験勉強の始め方について説明します。
まず、製図試験では6時間30分の時間内にA2答案用紙に「図面」とA3解答用紙に「計画の要点等」を書き上げます。図面はエスキスと作図、計画の要点等には記述にて解答します。
点数の配分としては、あくまで予想となりますが図面5~6割、記述4~5割ぐらいと言われています。
エスキス
エスキスとは、フランス語で「下絵、スケッチ」などを意味しますが、建築の世界では設計条件を検討しながら下書きをまとめる作業を指します。製図試験では、与えられた設計条件にあう建築物を作図前に検討して下書きを作成する作業を示します。
作図
エスキスで作成した下書きをもとに、図面を書き上げる作業を指します。すべて定規を用いて書く人もいれば、長い直線以外は定規を使わない人など、その流儀は千差万別です。正解はないので、早めに自分にあった書き方を見つけることが大事です。
記述
記述は、図面とは別に文章やイメージ図の記入を求められ、主に図面では表しきれない知識を説明するために書きます。
図面、記述のそれぞれの能力が合格レベルに達するまでの時間配分としては、図面8~9割、記述1~2割くらいが適正だと思います。
しかし、エスキスや作図の勉強が思うようにはかどらず、記述にほとんど手が付けられていない状態で本番を迎えてしまうこともあり得ます。このため、当サイトでは、全力で図面に注力しながらも隙間時間を使って合格に必要となる記述知識を取得できるように考えています。よろしければ利用してみてください。
それでは本題に入って、製図勉強の始め方に移ります。
製図勉強の始め方手順
勉強手法を決める
これが一番大きな問題ですが、早めに決めないと出遅れてしまいます。選択肢としては資格学校、通信教育、独学などです。最終的に後悔することがないように、しっかりと情報収集して決めてください。
決めた後は、自分の選択した道を信じて突き進むだけです。
試験の全体像を把握する
製図試験とはどんなものかを知っておく必要があります。具体的には、どんな図面を書かなければならないかを理解しておきます。これは、「建築技術教育普及センター」のホームページにある「設計製図の試験」過去問題を確認します。問題用紙や答案用紙、合格基準等を見ることは当然ですが、一番重要なのは、標準解答例を確認することです。
初めて見たときには、約3ヶ月後に自分がこれほどの図面を書き上げることができるのか?と不安になるような図面だと思います。しかし、しっかり取り組めば必ず書けるようになりますので、自分を信じて勉強してください。
ただし、あくまで「標準解答」であることを理解しておかなければなりません。「模範解答」ではなく、センターの発表にもあるように「合格者の標準的な解答例」を示すこととされています。
標準解答はエスキスの考えかたや図面表現を確認する程度としてください。細かな粗さがしをすることは時間の無駄になります。
また、直近の令和元年(10月、12月)と平成30年の解答例には「間違いが多いこと」の説明として、「延焼のおそれがある部分」「避難通路」「バリアフリー」などについて図面に説明があります。最近の製図試験は特に法規に厳しいとされています。学科を終わったばかりの今なら、書いてある内容も理解しやすいと思いますので、ぜひ、確認しておいてください
道具をそろえる
製図道具は使ってみて具合がわかるものばかりです。先輩やネットの情報を参考にしながらとにかく手に入れて試してみましょう。使い進めるうちに、自分に合っているかがわかるようになります。
求める道具に出会うまでは、何回も変えることとなるかもしれませんが、ここはためらう場面ではありません。どんどん試して早めに最高の相棒を見つけましょう。
作図の練習をする
図面のトレースから始めます。初めての場合は、とんでもない時間がかかります。私は8時間くらいかかった記憶があります。心が折れそうになりますが、枚数を重ねるにしたがって時間は短縮できます。一番初めが我慢どころです。いきなり複雑な図面をトレースすることはやめて、書き込みが少なめの初期課題を選んで練習しましょう。
トレースをする前には、作図手順の確認とパーツ練習をあらかじめしておくことをお勧めします。これらをやっておけば、初めてのトレースでも時間を抑えられると思います。
あとは、常に無駄な作業がないかを考えながら書くようにします。作図は作業でありながら、頭を使って書かなければ時間短縮はできません。
まずは3時間以内に書き上げることを目標に練習し、フリーハンドを多用することも選択肢の一つとしてください。フリーハンドは向き不向きがありますので、しっくりこない場合は早めにやめる判断が必要です。
エスキスを学ぶ
エスキスの方法はいろいろありますが、まずは自分が通っている学校、通信教育が説明する手順で始めてください。何問も解いたにも関わらず、エスキス手法がしっくりこない場合は他の方法を検討してみてもいいと思います。しかし、初めて製図試験を受ける段階では何がいいかは判断できないので、自分が選んだ勉強方法を信じてやってみましょう。
記述を学ぶ
記述で最も重要なのは、自分の解答を客観的にみることです。なかなか自分の解答を客観視することはできないものです。客観視する際には、質問に対して正しく答えているか?図面との整合がとれているか?に主眼を置いて確認しましょう。
学校や通信教育では、添削してもらう機会があると思うので、自分の弱点をよく理解して強化してください。
記述の場合、場面に合わせた定型文を頭に入れることで対応できる問題は多いです。
多くの問題を扱い、図面も併せて掲載している当サイトを利用していただければありがたいです。
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