早期に記述を勉強するメリットと試験までのスケジュール【一級建築士製図試験】

一級建築士製図試験での「計画の要点等」は五割ほどの配点といわれています。配点上は製図同様に重要なはずが、エスキスや作図の勉強に時間を割かれ、記述対策が疎かになってしまった話をよく聞きます。
私が製図を初受験した際、エスキスや作図の力量不足だけではなく、記述問題では、解答欄を埋めるだけで精いっぱいだったことから、記述の力不足を痛感しました。
初受験の反省から、2度目の製図試験では、3月ごろから少しずつ記述の勉強をはじめ、7月ごろには基礎的な問題対策を完了させました。結果として、課題発表後にはエスキスや作図に集中できたため、合格できたと考えてます。
この記事では、早めに記述を勉強するメリットや勉強スケジュールをご紹介します。
早めに記述を勉強するメリット
弱点の克服
この記事を読んでいる方は、少なからず記述に苦手意識をもっているかと思います。しかし、記述への苦手意識を持つことはもったいことです。なぜなら、記述問題対策は時間をかけて行えば確実に実力が付くからです。
一級建築士製図試験は時間との勝負ですので、試験中に迷うことなく書き進めるだけの基礎力が必須です。早くから準備をして、苦手意識を払拭しておくことが大事です。
エスキスや作図より効率がよい
エスキスや作図の力を伸ばすには、多大な努力と時間が必要です。しかし、計画の自由度が高くなっている近年の製図試験では、合格者の製図採点結果は大差はないと思われます。努力の結果、非常にきれいな図面をかけるようになったとしても、採点における「図面の印象」は微々たるものと言われています。
逆に、計画の要点等では各設問で求められるキーワードが一つ書ければ1,2点は稼ぐことができます。キーワードを覚えることには、それほど多くの時間は必要ないので、記述力を上げるほうが効率よくできるのです。
結果として、下図のとおり効率よく全体の得点を上げることができます。


製図の勉強を「エスキス」「作図」「記述」と等しく時間を費やした場合、結果として能力が伸びるのは、ダントツ「記述力」です。
エスキスや作図に役立つ
記述では、建築計画に関する動線の問題や、設備に関する問題がよく出ます。記述を勉強を製図に先だった始めることで動線や設備に関する理解が深まり、エスキスや作図をするときに役立つことがあります。
例えば、建築物内部の動線のセオリーを知っていればプランニングも容易になりますし、各空調方式の特徴を知っていれば、機械室や設備シャフトの配置に迷うことがなくなります。
また、記述問題では法律に関することも出題されます。4択で解答できる学科問題とは異なり、製図で問われる法律知識は、具体的要件に当てはめて判断していく深い理解が必要となります。
記述対策を早期に始めることで、製図試験に必要となる深い法律知識も整理することができるため、記述対策だけではなく製図対策にも役立つこととなります。
本番で時間に余裕ができる
記述問題への苦手意識がなくなると、記述の解答にかかる時間が安定します。余計なことを考える時間が無くなり、覚えたキーワードを用いて、論理的な分を書き進めるだけだからです。
記述の時間が安定するとエスキスに充てる時間に幅をもたせることができ、仮に、本番で予想していない出題があったとしても、焦らずいつもの力を発揮できるようになります。
また、エスキスや製図が順調に進んだ場合は、かなりの時間を見直しに充てることができるようになります。見直しを十分にするとができれば致命的なミスや細かな書き忘れを防ぐことができ、一点を争うこの試験では、合否を分けるポイントになります。
7月の課題発表までにやること
製図試験の課題は、例年7月下旬に発表されます。それまでに過去の頻出項目を完ぺきにしておくことが重要です。
具体的にどの問題をやるかは、別の記事で書きたいと思いますが、過去問をベースに計40問をくり返し解けば頻出問題には対応できます。
計画15問
- 建物内部の配置、動線 5パターン
- 建物外部の配置、動線 5パターン
- ゾーニング 2パターン
- その他 3パターン
構造5問
- 建築物の構造 1パターン
- 大空間の構造 1パターン
- 基礎 1パターン
- 耐震 1パターン
- 断面計画 1パターン
設備15問
- 空調方式 3パターン
- 空調吹出し口 2パターン
- 空調機器、ダクト配置 1パターン
- 空調省エネ 1パターン
- 給水 2パターン
- 給湯 2パターン
- 電気 2パターン
- 設備シャフト 1パターン
- 災害対策 1パターン
環境負荷低減5問
- 自然採光 1パターン
- 日射遮蔽 1パターン
- 自然通風 1パターン
- その他省エネ 2パターン
これらの問題を覚えるのに、今の時期から始めれば、1日5分程度の勉強で十分7月の課題発表に間に合います。
8月~試験本番にやること
8月からは、発表された製図課題に沿った予想問題(資格学校や市販参考書)を解くと思います。
7月までに、記述の頻出問題を完ぺきにしておけば、予想問題の記述部分は大体できるようになっていますので、エスキスと作図に集中できます。
あとは、予想問題で分からないものや、過去問のうち出題頻度の低いものまで覚えれば完了です。
記述の勉強方法
記述は暗記要素が多いので、テスト形式でくり返し同じ問題をやることが効果的です。暗記要素が多いとはいえ、一定の理解をしていなければ本番で少しひねられただけで対応できなくなってしまいます。
この点も、同じ問題をくり返し理解度を上げることで解決できます。また、実際に書くことも重要です。試験本番では、極度の緊張のなかで約1時間、書き続けなくてはいけません。
普段から本番を意識して、書く練習をしておくことをおすすめします。週1回は、作図とともに通しで書いておくとよいでしょう。
まとめ
今回は、早期に記述対策をするメリットや勉強スケジュールについて書きました。
記述の勉強は計画的に進めれば、あまり時間をかけずにすみます。早めに記述の勉強を始めてみてはいかがでしょうか。
記述力養成のための勉強方法に関しては、こちらの記事もご覧ください。
記述解答における文章作成に関しては、こちらもご覧ください。
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