【おしらせ】

記述研究所はnoteに引越しました。こちらへ

添削室からのお便り⑤

2022年9月17日

こんにちは、ミド2です。当研究所では添削室を開設し、モニターさんから解答を見せていただくことで受験生の皆さんが不得意な部分についての研究を始めています。

今回は、大空間の計画についての解答方法です。自分の解答をチェックする際には、参考にしてみてください。

まず、下記の解答を自分が解答を添削するつもりで読んでください。

設問:建築計画において、このプランで多目的ホールについて配慮したことを記述しなさい

   (要求室の特記事項として、多目的ホールは天井高3mの無柱空間の指定あり

モニターさん作成解答

多目的ホールは様々な用途で使用するため無柱空間とし、天井高さを3mとした。また、2階に設置することで、居住部門、デイサービス部門、その他部門の利用者が集まりやすくなるよう配慮した。構造については、無柱空間となることで、14mスパンが必要となり、たわみやひび割れ、また梁せいが抑えられるプレストレストコンクリート梁を採用した。

設問にしっかり答えることができているでしょうか?それぞれの文章を紐解いて解説していきます。

設問: 建築計画において、このプランで多目的ホールについて配慮したことを記述しなさい

   (要求室の設計条件として、多目的ホールは天井高3mの無柱空間の指定あり

モニターさん作成解答

多目的ホールは様々な用途で使用するため無柱空間とし、天井高さを3mとした。また、2階に設置することで、居住部門、デイサービス部門、その他部門の利用者が集まりやすくなるよう配慮した。構造については、無柱空間となることで、14mスパンが必要となり、たわみやひび割れ、また梁せいが抑えられるプレストレストコンクリート梁を採用した。

モニターさんの解答の解説をします。解答は下記の三つの文で構成されています。

①多目的ホールの用途について

「無柱空間、天井高さ3m」とありますが、設計条件で指定されていますので、プランをアピールすることにつながりません。また、理由(様々な用途で使用すること)と結果(無柱空間とし、天井高さを3mとすること)が直接的に結びつきません

②2階に設置した利便性について

2階に配置するメリットがうまく書けています。多目的ホールは普通であればその他部門がある1階に配置すると思いますが、上階の居住部門の利用を想定して、あえて2階に配置したという設計意図が読み手に伝わります。

③多目的ホールの構造について

設問では「建築計画において」とありますが、「構造計画」について解答しています。どうしても書くことが無くなった場合には止むを得ませんが、通常は建築計画について解答するようにします。

では、改善すべき点を確認していきます。今回のプランで、多目的ホールを計画した時に考えたことは以下の点だと思います。これらを踏まえ、修正していきます。

  • 公園の景観を取り入れることができるように建物の南側に配置した
  • 日照条件の良い南側に配置した
  • 二階ホールに面して計画し、多人数利用に配慮した
  • 一階の利用者と上階からの居住者の利便性を考慮し二階に計画した
  • メイン道路からよく見える南西角に配置した

まず、プランの絵を見ると、南側に公園があることに気づくと思います。多目的ホールを公園側に面して配置できていますので、公園側に大きな開口を設けることで、利用者が快適な空間で過ごせることを記述できます。

次に、多目的ホールは「天井高3m以上の無柱空間」と指定されていますので、多人数利用が想定されます。プランでは2Fホールに面して多目的ホールを計画できていますので、2Fホールを人溜り空間として利用することで、多人数利用に配慮したことをアピールできます。

なお、②2階に配置した利便性についてはモニターさんの解答のままでも問題ありませんが、外部からの利用者(1・2階)と居住者(3階)の両方に配慮していることをアピールします。

以上を踏まえた、解答例は以下のとおりです。

設問:建築計画において、このプランで多目的ホールについて配慮したことを記述しなさい

   (要求室の特記事項として、多目的ホールは天井高3mの無柱空間の指定あり

研究所作成解答

利用者が公園の景観を楽しめるように、日当たりが良い南西側に多目的ホールを配置して公園側に大きな開口部を設けた。また、外部からの利用者と居住者の両方が利用しやすいように2階に計画した。さらに、多目的ホールに隣接した2階ホールを人溜たまり空間として利用することで、多人数でも利用しやすいようにした

計画内容理由

モニターさん作成解答

多目的ホールは様々な用途で使用するため無柱空間とし、天井高さを3mとした。また、2階に設置することで、居住部門、デイサービス部門、その他部門の利用者が集まりやすくなるよう配慮した。構造については、無柱空間となることで、14mスパンが必要となり、たわみやひび割れ、また梁せいが抑えられるプレストレストコンクリート梁を採用した

計画内容理由

当所作成解答とモニターさんの解答を比較すると、プランの良さがより伝わりやすくなったと思います。

また、今回は書きませんでしたが、メイン道路からよく目立つ建物の南西角に配置することで、集客性に配慮している点を記述してもいいです。

まとめ

せっかく良いプランであっても、記述の説明が不十分だと試験元にうまく伝わりません。それはとても勿体ないので、自分の言葉でしっかり説明できるように訓練しましょう。

本日のお便りはここまでです。

追伸

本試験で「計画の要点等」を解答する際には、文章構成をじっくり検討する時間はありません。普段の課題を解く際には、文章構成を意識してじっくり解く訓練と、とにかく素早く書く訓練の両方を進めてください。

いままでのお便りです。