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【一級建築士製図試験】計画の要点等 空調負荷抑制

2020年4月21日

近年の計画の要点等では、必ず環境負荷低減分野の出題があります。このうち「空調負荷抑制」について問われた際の記述をまとめます。

キーワード

パッシブデザイン アクティブデザイン Low-E複層ガラス 高気密サッシ 外断熱 水平・垂直ルーバー 庇 クール(ヒート)チューブ 太陽熱集熱器 全熱交換器

問題

建築物の空調負荷抑制について考慮したことを記述する。

解説

空調負荷抑制手法には、パッシブデザインアクティブデザインがあります。

パッシブデザイン

パッシブデザインとは自然採光や自然通風など、機械設備を利用せずに風や太陽光などの自然エネルギーを積極利用する設計手法です。パッシブデザインを採用する際は、以下のことに配慮します。

建物の断熱性を高める

建物の断熱性を高めることによって、室内の熱が逃げることを防ぎます。具体的にはLow-E複層ガラス高気密サッシ外断熱を採用します。室内の熱が逃げないことにより、空調効率が向上し、空調負荷抑制につながります。

外からの熱流入を防ぐ

建物外部から室内への日射や熱の流入を防ぎます。具体的にはLow-E複層ガラス水平・垂直ルーバー、庇、外断熱を採用します。 日射や熱を防ぐことにより、夏期の冷房負荷を抑制します。

なお、庇を設置した際、水平投影長さ1m以上の部分は建築面積に参入されるので注意が必要です。

空調稼働時間の削減

大きな開口部を設けたり、開閉式トップライトからの重力換気を用いたりして、中間期の自然通風を取り込むことにより、空調の稼働時間を短くします。

アクティブデザイン

アクティブデザインとは 太陽光発電や地熱利用など、機械設備を用いて省エネルギーを実現する設計手法です。空調におけるアクティブデザインの方式は以下のものがあります。

クール(ヒート)チューブ

地下ピットに配管したチューブを通した外気を、空調機への吸気に用います。

地下の温度は年間を通して一定であるため、夏は冷たい空気を、冬は暖かい空気を取り入れることができ、空調負荷抑制を図れます。

太陽熱集熱器

屋上に太陽熱集熱器を設置し、集めた熱エネルギーを床暖房の補助熱源に利用することで、冬期の暖房負荷を抑えます。

全熱交換器

全熱交換器を用い、換気の際に熱と湿気を回収することで、空調効率を高めます。

なお、単一ダクト方式等に用いる空調機(AHU)には全熱交換器が内蔵されていますが、空冷ヒートポンプマルチユニットの天井カセット型やファンコイルユニット方式は、別途設置する必要があります。

フリークーリング

中間期にチラーユニットの冷凍機を停止し、クーリングタワーのみで冷却水を供給する方式です。冷凍機の運転時間を減らし、省エネルギーを図れます。

解答例

パッシブデザインが問われたとき

Low-E複層ガラス高気密サッシを採用し、開口部からの熱損失を抑制することにより、空調負荷を抑制した。

外壁面に外断熱を採用し、躯体の断熱性を向上させることで、空調負荷を抑制した。

建物の西面には垂直ルーバー、南面には水平ルーバー及びを設置し、夏季の直射日光を遮蔽することで、空調負荷を抑制した。

建物中央の吹抜け上部に開閉式のトップライトを設け、重力換気による自然通風を確保することで、中間期の冷房負荷を抑制した。

アクティブデザインが問われたとき

地下ピットのクールチューブを設置し、地中熱により冷やされた外気を導入することで、夏期の冷房負荷を抑制した。

吹抜けのあるエントランスホール談話コーナーでの快適性向上のため、太陽熱集熱器で集めた熱エネルギーを床暖房に利用し、冬期の暖房負荷を抑制した。

換気設備に全熱交換機を採用し、熱回収を図ることで、空調負荷を抑制した。

中間期にフリークーリングを実施し、冷凍機の運転時間を減らすことで、冷房負荷を抑制した。

まとめ

以上、「空調負荷抑制」の記述についてまとめました。近年は、どちらかというとパッシブデザインによる対応が求められます。補足図を含めしっかり対策しましょう。