【一級建築士製図試験】計画の要点等 空調方式
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一級建築士試験の「計画の要点等」では、 設備分野で空調関連の問題がよく出題されます。
空調関連の問題の中でも、空調方式の選定や各方式の特徴についての記述についてまとめます。
キーワード
定風量単一ダクト方式 変風量単一ダクト方式 空冷ヒートポンプパッケージ方式 マルチ型 床置きダクト接続型 天井隠蔽ダクト接続型 外調機方式 ファンコイルユニット方式
問題
(設問で対象となる室)に採用した空調方式と採用した理由を記述する。
解説
一級建築士試験で採用される各空調方式の特徴と選定理由をまとめます。
定風量単一ダクト方式
概要
- 空調機により温湿度調整した空気を、ダクトにより各室に供給する
- 空冷ヒートポンプチラーユニットから空調機に冷温水を供給する
- 空調機械室が必要
特徴
- 吹出し能力が高く、安定した送風が可能
- 換気量が確保しやすい
- 送風量は一定で、温度を変えることで空調する
選定
- 負荷変動が小さい室
- 天井の高い大空間
- 美術館の収蔵庫等、一定の温度管理が必要な室


変風量単一ダクト方式
概要
- 空調機により温湿度調整した空気を、ダクトにより各室に供給する
- 空冷ヒートポンプチラーユニットから冷温水を空調機に供給する
- 空調機械室が必要
特徴
- 吹出し能力が高く、安定した送風が可能
- VAVユニットを設置し、風量調整することで負荷変動に対応できる
- 低負荷時には、換気のための最小風量を確保するよう注意が必要
選定
- 負荷変動がある大空間
- 個別制御が必要な会議室や研修室


空冷ヒートポンプパッケージ方式 マルチ型
概要
- 一つの空冷ヒートポンプパッケージ室外機から、各室に設置した複数の室内機に冷媒を供給する
- 室内機は室内の空気を吸気し送風するため、換気はできない
- ダクトを設置しないので、梁下は200mm程度でよい
特徴
- 個別制御が容易で省エネルギー性に優れる
- 別途、換気設備が必要
選定
- 店舗等の個別で運転時間や負荷傾向が異なる室
- 個別制御が必要な会議室や研修室


空冷ヒートポンプパッケージ方式 床置きダクト接続型
概要
- 空冷ヒートポンプパッケージ室外機からの冷媒で熱交換する
- 空調機にダクトを接続し、天井等から吸気する
- 空調機械室が必要
特徴
- 吹出し能力に優れる
- 別途、換気設備が必要
選定
- 天井の高い大空間


空冷ヒートポンプパッケージ方式 天井隠蔽ダクト接続型
概要
- 空冷ヒートポンプパッケージ室外機からの冷媒で熱交換する
- 天井懐に設置した空調機からダクトで吹出す
特徴
- 吹出し能力に優れる
- 室内から吸気し送風するため、換気はできない
選定
- 吹抜け中央部等、個別に吹出す必要があるところ
- 床置き型が設置できない場所(勾配屋根部分)


ファンコイルユニット方式
概要
- 室ごとに設けたファンコイルユニットで送風する
- 空冷ヒートポンプチラーユニットから冷温水をファンコイルユニットに供給する
特徴
- 個別制御が可能
- 換気はできないため、定風量単一ダクトと併用することが多い
選定
- 店舗等、個別制御が必要な場合


解答例
定風量単一ダクト方式
エントランスホールの空調方式は、均一な気流分布と温湿度分布を確保できる定風量単一ダクト方式を採用した。
空冷ヒートポンプパッケージ方式 マルチ型
各研修室は室ごとに利用時間帯が異なるため、個別制御が容易な空冷ヒートポンプパッケージ方式マルチ型を採用した。
空冷ヒートポンプパッケージ方式 床置きダクト接続型
多目的ホールは天井が高い空間であるため、吹出し能力に優れる空冷ヒートポンプパッケージ方式床置きダクト接続型を採用した。
空冷ヒートポンプパッケージ方式 天井隠蔽ダクト接続型
吹出し能力に優れる空冷ヒートポンプパッケージ方式天井隠蔽ダクト接続型空調機を、2階梁下に設置し、吹抜け中央部に気流を到達させるよう配慮した。
ファンコイルユニット方式
ホテルの客室については、室ごとに個別制御が可能なファンコイルユニット方式とし、換気が行えるよう単一ダクトを併用した。
まとめ
空調方式についての設問には、それぞれの方式の特徴と選定理由を記述できるようにしましょう。
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