【一級建築士製図試験】計画の要点等 勾配屋根(構造計画)

一級建築士試験では、年度によっては主要な屋根形状が勾配屋根に指定されることがあります。
今回は勾配屋根の構造計画についてまとめます。
勾配屋根 柱サイズ スラスト荷重
過去の出題例
平成26年 温浴施設のある「道の駅」
勾配屋根の架構計画について、その特徴及び特に配慮したこと
平成25年 大学のセミナーハウス
勾配屋根の構造計画について工夫したこと
解説
勾配屋根は、建物中央の柱の実長が長くなるため、当該柱の剛性を高めることで、柱に発生する応力を確実に基礎に伝えられるようにする必要があります。
また、地震時には勾配屋根スラブから柱にスラスト荷重が発生するため、各階の柱寸法を同じ寸法で設計することが有効です。
※スラスト荷重とは、スラブと平行方向の荷重です。柱に対しせん断方向の荷重となるため、柱の剛性を高めたり、鉄筋量を増やしたりすることが必要です。
屋根スラブについては、スラブ剛性を確保するため、勾配と直角方向に小梁を設けます。小梁の間隔はスパンの1/2を基本とし、スパンが8m以上となる場合は二箇所に小梁を設けます。
ハイサイドライトを設けるために中央の梁を二段梁とする場合は、ハイサイドライトの周囲を柱、小梁、大梁で囲ってフレーム構造とする事で、屋根架構の剛性を確保するようにします。
解説
勾配屋根は南北方向に下る切妻屋根とし、屋根勾配を2/10と緩やかにすることで、柱に生じるスラスト荷重を低減した。
建物中央の柱は実長が長くなるため、柱をサイズアップして800㎜×800㎜で計画し、柱の剛性を高めて屋根スラブの荷重が確実に基礎に伝わるようにした。
屋根スラブの剛性を確保するため、勾配と直角方向にスパンの1/2を目安に小梁を配置した。
勾配屋根からのスラスト荷重を確実に基礎に伝達するため、柱サイズを700㎜×700㎜とし、各階とも同じ寸法で計画した。
ハイサイドライトを計画したため、当該開口部を柱と梁で囲ってフレーム構造とすることで、屋根架構が安定する様に配慮した。
勾配屋根の構造計画では屋根スラブと柱の剛性の確保が重要ですので、しっかり理解を深めましょう。
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