【一級建築士製図試験 計画の要点等】補足図、イメージ図まとめ(環境負荷低減編)

一級建築士製図試験の記述問題である「計画の要点等」では、記述に加えて計画概要を図示することが要求されます。
これまでは「補足図記入欄」とあり、あくまで任意の記入でしたが、令和元年試験では「イメージ図記入欄」に変わり、「必ず記入」と注意書きがありました。
イメージ図は、今後も記入が必須となる可能性が高いので、対策が重要です。
これまでの補足図、イメージ図に関する出題についてまとめ、対策のヒントを考えてみたいと思います。
補足図、イメージ図出題状況
※環境負荷低減
本日は「環境」分野の出題について解説します。
平成28年
平成28年の設計課題は「子ども・子育て支援センター」でした。
計画の要点等は7問出題され、うち2問について共通の補足図記入欄がありました。
1問が設備を用いた環境負荷低減手法に関するもの、もう1問が「自然採光」、「自然通風」に関するものです。
ここでは、「自然採光」、「自然通風」についてまとめます。設備を用いた手法については、こちらの記事でまとめています。
出題内容
建築物の環境負荷低減に関し、「自然採光」、「自然通風」について考慮したことを記述するもので、「イラストやシステム図等で補足してよい」とされました。
解答欄
記述欄と補足図記入欄は下図のとおりです。環境負荷低減の2問で共通の補足図欄となっていました。


図示例
自然採光
自然採光については、次のような図示が考えらえられます。
- 平面図に矢印を描いて、外壁面からの採光を表す
- 断面図に矢印を描いて、外壁面やトップライトからの採光を表す
自然通風
自然通風については、次のような図示が考えられます。
- 平面図に矢印を描いて、開口部等を用いた通風を表す
- 断面図に矢印を描いて、開口部やトップライトを用いた通風を表す


平成29年
平成29年の設計課題は「リゾートホテル」でした。
計画の要点等は7問出題され、2問で補足図記入欄がありました。うち、1問が環境負荷低減分野の出題です。
出題内容
パッシブデザインについて考慮したことを、3つ以上記述するものです。太陽光発電と太陽熱利用は、パッシブデザインとみなされませんでした。
考え方を「イラストやシステム図等で補足してよい」とされました。
解答欄
下図のように解答欄と補足図欄が用意されました。


図示例
主な記述内容は、次のようなものがあります。
- トップライトを用いた採光、通風
- ハイサイドライトを用いた採光、通風
- 庇による日射遮蔽
- ルーバーによる日射遮蔽
- Low-Eガラスによる日射遮蔽
これらについて、平面図や断面図で補足します。




平成30年
平成30年の設計課題は「スポーツ施設」でした。
計画の要点等は9問出題され、4問で補足図記入欄がありました。うち、2問が環境負荷低減分野の出題です。
出題内容①
温水プール室の自然採光と空調エネルギー抑制のための、ガラス面と開口部の計画について、工夫したことを2つ記述するものです。
考え方を「イラストやシステム図等で補足してよい」とされました。
解答欄
下図のように解答欄と補足図欄が用意されました。


図示例
自然採光については、開口部やトップライトから確保することを平面図や断面図で表します。
空調エネルギー抑制については、開口部やトップライトを用いて通風を確保することや、ルーパー等で日射遮蔽することを平面図や断面図で表します。


出題内容②
エントランスホールと3層吹抜けへの採光と空調エネルギー抑制のための、ガラス面と開口部の計画について、工夫したことを2つ記述するものです。
考え方を「イラストやシステム図等で補足してよい」とされました。
解答欄
下図のように解答欄と補足図欄が用意されました。


図示例
吹抜けに面した開口部や、吹抜け上部のトップライトから自然採光を確保することを図示します。
空調エネルギーを抑制するために、吹抜けに面した開口部や、吹抜け上部のトップライトを用いて通風を確保することや、ルーパー等で日射遮蔽することを図示します。




令和元年 本試験、再試験
令和元年は、台風の影響により関東地方で再試験が行われました。
設計課題は本試験、再試験ともに「美術館の分館」で、計画の要点は10問出題されました。
10問中3問でイメージ図記入欄があり、うち1問が環境負荷低減分野の出題です。
出題内容
公園の眺望を確保したうえで、冷房負荷低減のため日射遮蔽する方法を記述するものです。
再試験については、「設備計画についての工夫」も追加されました。
留意事項に「ガラスはLow-Eガラスとする」と記載がありましたので、Low-Eガラスについての記述はできません。
イメージ図記入欄は、記入が必須とされました。
解答欄
下図のように、記述欄とイメージ図記入欄が用意されました。




図示例
記述する内容は、次のようなものがあります。
- 可動式水平ルーバー
- 可動式鉛直ルーバー
- 庇
- 窓面の位置を工夫
- ルーバー設置高さを工夫
これらの方法を、平面図や断面図で表します。下の例は、可動式鉛直ルーバーを設置し、時間帯により眺望を確保する案です。




まとめ
以上、「環境負荷低減」分野の補足図についてまとめました。
環境負荷低減の補足図は、近年、毎年出題されています。採光、通風、日射遮蔽について、簡単な平面図や断面図で表す練習をしておきましょう。
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