【一級建築士製図試験】計画の要点等 排煙設備

「計画の要点等」の設備分野において、近年の出題はありませんが、排煙設備に関して問われることがあります。
今回は排煙設備についてまとめます。
防煙区画 排煙口 自然排煙方式 機械排煙方式
問題
排煙計画について配慮したことを記述する。
解説
排煙設備とは、火災発生時に火災による煙を屋外に排出するための設備で、排煙口や排煙機等があります。
過去の出題例
平成21年「貸事務所ビル」
排煙計画について配慮したこと
設置基準
建築基準法施行令では、以下の建築物及び部分について、排煙設備の設置を義務付けています。
- 500㎡を超える特殊建築物
- 階数3以上、かつ、500㎡を超える建築物
- 排煙上の無窓居室(天井または天井から下方80cmに床面積の1/50が確保できない)
- 延べ面積1000㎡を超える建築物の、200㎡を超える居室
防煙区画
排煙設備の設置が必要となった場合は、500㎡以内ごとに防煙区画しなければなりません。
防煙区画とは煙が建物内に広がるのを防ぎ、適切に排煙するための区画で、防煙垂れ壁や間仕切壁で区画します。
自然排煙方式
外気に面する壁に、対象とする防煙区画の1/50以上の開口が確保できる場合に採用可能です。
火災で発生した煙は空気より軽いため、上昇することを利用して天井や窓上部から屋外に排出します。
一般的には、採光用の窓の上部を開閉できるようにし、排煙口とすることが多いです。
自然排煙方式は電源が不要で安定した効果が得られますが、外気に開放できる窓を設けられる位置でないと採用できません。
機械排煙方式
排煙機、排煙風道、排煙口等で構成されます。
排煙対象部分に設けた排煙口から、屋上に設置した排煙機まで排煙風道をつなげて、排煙機により煙を吸引する吸引方式がよく用いられます。
その他の方式に、対象部分に送風機により吸気し煙を押し出す、第2種排煙方式(押し出し排煙)があります。
製図試験では、吸引方式と考えて記述すればよいです。
排煙口
排煙口は防煙区画の各部分から、歩行距離で30m以内の箇所に設置します。
また、天井または天井から80cm以内の壁、かつ、防煙たれ壁の下端以上に設置します。
手動開放装置を以下のように設けます。
- 壁の場合:床面から80cm以上、1.5m以下の位置
- 天井の場合:床面から約1.8mの位置
排煙口が所定の要件(防煙区画の1/50の面積)を満たさない場合は、機械排煙方式を採用しなければなりません。
天井高さが3m以上の部分の排煙口は、以下のとおりとします。
- 床から2.1m以上、かつ、天井高の1/2以上の位置に設置
- 防煙たれ壁の下端より上方に設置
解答例
排煙上有効な開口が確保できる居室については自然排煙方式としたため、各部分から30m以内の窓上部に排煙口を設置した。
手動開放装置は非常時に操作しやすいように、床面から80cm以上1.5m以下の位置に設置した。
廊下については機械排煙方式としたため、排煙用DSを設け、屋上に排煙機を設置した。
排煙設備に関しては、設備の設置基準を覚えて記述できるようにしましょう。
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