【一級建築士製図試験 計画の要点等】「過去問(平成30年)エスキス→記述のポイント」

一級建築士製図試験では「計画の要点等」として、設計した建物のプランニング(計画)、構造、設備等について、A3用紙1枚分の解答欄に記述します。
解答順序としては、(問題読み込み→エスキス→記述→製図)の順が多く採用されます。
記述問題は、エスキス図をもとに解答することになりますが、図面と記述内容が整合するようにしなければなりません。
今回は平成30年の過去問について、エスキス図をもとに記述する際の注意事項について説明します。
問題
平成30年は「健康づくりのためのスポーツ施設」について出題されました。問題の概要は過去の記事にまとめていますので、こちらをご覧ください。
エスキス図
令和元年問題のエスキス例は以下のとおりです。
1階平面図・配置図、2階平面図、3階平面図の順番です。
出題内容
平成30年は、計画の要点等として9問出題されました。とりわけ、図面との整合が問われる下記の4問について解説します。
(1)温水プール室の自然採光、空調エネルギー抑制
温水プール室における自然採光の確保と空調エネルギーの抑制について、ガラス面及び開口部の位置、平面計画、断面計画等の工夫が問われました。
(2)EHと3層吹抜け等における自然採光
エントランスホール、3層吹抜け、吹抜け周囲の空間における自然採光と空調エネルギー抑制に関し、ガラス面と開口部の位置、平面計画、断面計画についての工夫を記述するものです。
(3)靴の履き替えを考慮したゾーニング、動線
利用者の靴の履き替え等を考慮した、各部門のゾーニングと動線計画について問われました。
(4)隣地施設との一体的使用についての工夫
旧小学校の校舎等を改修して建設した、カルチャーセンターやグラウンドとの一体的使用について問われました。
解説・解答
(1)温水プール室の自然採光、空調エネルギー抑制
【解説】
自然採光については、開口部やトップライトから確保することを記述します。
空調エネルギー抑制については、ルーバー、庇等を設置することによる日射負荷低減や、開口部やトップライトでの通風による空調負荷低減を記述します。
エスキスでは、平面計画上、断面計画上の工夫として、日当たりの良い東側に二層に渡る大きな開口を設けたことを記述します。
【解答】
温水プール室は、日当たりの良い東側に配置し、二層に渡り広く開口部を設けることで、自然採光を取り入れた明るく開放的な空間になるようにした。
可動式のトップライトを設けることで、夏期には開口部とトップライトを利用して自然換気ができるようにした。
夏期の直射日光を防ぐために、東側に垂直ルーバー、南側に水平ルーバーを設けた。
(2)EHと3層吹抜け等における自然採光
【解説】
エスキスでは三層吹抜けを外壁面に設けましたので、外壁開口部を利用して各階のホールに自然採光を取り込んだことを記述します。
【解答】
外壁開口部を利用して各階のホールに自然採光を取り込めるように、西側壁面に面して三層吹抜けを設けた。
(3)靴の履き替えを考慮したゾーニング、動線
【解説】
平成28年(子供・子育て支援センター)で出題された問題が、再度、出題されました。
エスキスではEHに下足箱を設け、室内を全て上足利用可能とすることで、利用者が利用しやすいようにしています。
また、温水プール室と更衣室A(プール用)は素足で利用しますので、他の動線と交錯しないことを記述します。
【解答】
利用者が利用しやすいように、EHに下足箱を設けて室内を全て上足利用可能とした。
主要な施設である温水プール室とプール用更衣室を一階EH正面に配置し、利用者の利便性に配慮するとともに、更衣後の動線が他の動線と交錯しないようにした。
利用者が利用しやすいように、温水プール室関連以外の健康増進部門の諸室を2・3階に集約配置した。
2階EVホールに近接して更衣室を設けることで、利用者の動線が短くなるようにした。
(4)隣地施設との一体的使用についての工夫
【解説】
隣接するカルチャーセンター等との一体使用を意識して計画する必要があります。
エスキスでは利用者の主動線上にある桜並木からの視認性に配慮して、メインエントランスを西側に設けています。
また、カフェについては桜並木および公園の景観を取り入れるように指定がありましたので、施設の南西側に設けています。
【解答】
カルチャーセンター利用者が気軽に施設に立ち寄りやすいように、利用者の主動線上にある桜並木からわかりやすい位置に施設の出入口を設けた。
利用者が桜並木や公園の景観を楽しめるように、カフェを南西側に配置した。また、カフェを1階に配置することで、カルチャーセンター利用者が気軽にカフェに立ち寄りやすくするとともに、食材の搬入にも配慮した。
まとめ
以上、平成30年のエスキス図面⇒記述の要点等についてまとめました。
特定防火設備や下足箱などの什器は書き忘れが多いので、記述との不整合が生じないように気をつけましょう。
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