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【一級建築士製図試験】計画の要点等 過去問分析(平成25年)

2022年9月17日

計画の要点等がA3解答用紙で問われるようになって10年が経過しました。近年の試験では、8割程度は過去と類似した問題が出題されます。

よって、過去問対策が重要ですので、これまでにどんな問題が出たのか見ていきます。

本日は平成25年「大学のセミナーハウス」です。

概要

都市近郊の湖畔に、美術系大学のセミナーハウスを計画するものです。建物規模は地上2階建てです。また、勾配屋根とすることが指定されました。

実習や討論を通じてコミュニケーションを図るとともに、自然を満喫しリフレッシュできる施設とします。

また、地域住民との交流のための発表会等も開催できるように計画します。

敷地条件

  • 北側:樹林
  • 南側:歩道付き道路 砂浜 湖(景色が良い)
  • 西側:企業保養所
  • 東側:樹林

主な要求室等

研修部門

  • セミナー室A(50人程度が利用)
  • セミナー室B(15人程度が利用)
  • セミナー室C(2室に分割)
  • アトリエ
  • 和室

宿泊部門

  • 宿泊室A(洋室・4人)×6
  • 宿泊室B(和室・12畳)×2
  • 宿泊室C(洋室・個室)×2
  • 談話スペース
  • 浴室

共用・管理

  • エントランスホール(吹抜け要求)
  • 食堂
  • 事務室
  • 設備スペース

外部施設

  • 屋外テラス(地上又は1階の屋上)
  • 車いす使用者用駐車場 1台
  • サービス用駐車場 1台
  • 駐輪場 10台

特徴的な留意事項

  • 勾配屋根の形状を活かした室内空間とする

出題内容

平成25年は、計画の要点等として8問出題されました。

設問内容分野
(1)研修部門の室配置と動線計画
(2)エントランスホールの計画計画
(3)勾配屋根を活かした室内空間計画
(4)建築物の構造、架構、スパン割り構造
(5)勾配屋根の構造計画構造
(6)アトリエの空調計画設備
(7)建築物の省エネルギー設備
(8)設備の設置位置設備

(1)研修部門の室配置と動線

セミナー室を外壁面のどの方向に配置したかによって、適切に記述します。湖側に開口部を設けるなら「景観に配慮」と記述できます。

また、エントランスホールに面して外壁面に各室を配置する場合は、「利便性に配慮」と記述できます。

(2)エントランスホールの計画

エントランスホールの特記事項には「1階と2階の連続性を考慮した吹抜け」と周囲の自然環境を取り入れた明るい環境」とあります。

よって、吹抜けと開口部の配置については記述したほうが良さそうです。

エントランスホールには「学生が制作した作品を展示する」とあるので、吹抜けを介し、2階から眺められることを記述できると思います。

吹抜けや開口部を湖・樹林側の外壁面に配置できるなら、「周囲の景観と採光を確保」のように記述できます。

(3)勾配屋根を活かした室内空間

「勾配屋根を活かす」=「勾配天井」です。勾配屋根の下に配置する室やスペースを、勾配天井とすることについて記述します。

勾配天井については、「天井を高くし、開放的な空間とする」のように記述します。また、トップライトやハイサイドライトを設けるなら、「明るく開放的な空間」等の記述ができます。

(4)建築物の構造、架構、スパン割り

近年も、毎年必ず出題される項目です。自分のプランに合致していることを十分確認し、暗記した定形文で対応します。

(5)勾配屋根の構造計画

勾配屋根の構造計画についての工夫が問われました。また、「計画の要点等」がA3となって初めて補足図記入欄ができました。

構造計画としては、勾配屋根の形状や大梁と小梁の配置、柱の実長について記述します。

また、アトリエ上部はPC梁とする必要がありますので、考慮することを記述します。

補足図については、屋根形状と梁の図を書ければよいでしょう。

(6)アトリエの空調計画

アトリエに採用した空調方式、空調機の設置位置、吹出口と吸込口の計画が問われました。解答欄は空調方式と空調機の位置をそれぞれ2行で記入、吹出口と吸込口の計画を4行で記入するようになっていました。

アトリエは天井高5m以上、間口奥行き10m以上の大空間ですので、空調方式は単一ダクトか空冷ヒートポンプパッケージダクト接続型とします。

空調機の位置は単一ダクトであれば設備機械室に、空冷ヒートポンプパッケージダクト接続型であれば、アトリエに近接した専用機械室とします。

吹出口と吸込口の計画は、均一な気流分布と温湿度分布となるように工夫することを記述します。例えば、ペリメーターゾーンに吹出口を多く設置することがあります。

(7)建築物の省エネルギー

自然採光の促進、日射遮蔽及び空調エネルギー削減による建築物の省エネについて問われました。

解答は「自然採光」「日射遮蔽」「空調エネルギー削減」それぞれを3行で記述するようになっていました。

自然採光

トップライトやハイサイドライトにより、積極的に自然光を取り入れることを記述します。

日射遮蔽

Low-Eガラスの採用、ルーバーや庇を設置することにより日射遮蔽に配慮することを記述します。

空調エネルギー削減

設備的手法として、全熱交換器等の採用について記述するほか、通風を取り入れて空調負荷を低減することを記述することもできます。

(8)設備の設置位置

受変電設備、空調室外機、給湯・ろ過設備の設置位置についての工夫が問われました。それぞれについて2行の解答欄が用意されました。

受変電設備

点検や更新への配慮について記述します。

空調室外機

勾配屋根であるため、屋上に設置することができません。景観に配慮して設置することを記述します。

給湯・ろ過設備

給湯・ろ過設備は浴室と近接して計画すると思いますので、熱損失が少なくなるよう配慮することを記述します。

まとめ

以上、平成25年の計画の要点等についてまとめました。

この年は勾配屋根に関する問題が2問出題されました。勾配屋根は作図も練習が必要ですが、記述も初見では難しいため対策が必要です。

しかし、勾配屋根に関する問題はパターンが決まっているので、一度勉強しておけば対応できますので、勾配屋根が指定されそうな年はしっかり対策しておきましょう。

◆過去問

Posted by もち