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【一級建築士製図試験】計画の要点等 過去問分析(平成23年)

2022年9月17日

計画の要点等がA3解答用紙で問われるようになって10年が経過しました。近年の試験では、8割程度は過去と類似した問題が出題されます。

よって、過去問対策が重要ですので、これまでにどんな問題が出たのか見ていきます。

本日は平成23年「介護老人保健施設」です。

概要

通所リハビリテーションのある介護老人保健施設を計画するものです。規模は地上5階建てです。

高齢者等が居宅生活へ復帰のするため、介護及び機能訓練等を行う施設を設計します。

敷地条件

  • 北側:病院
  • 南側:公園
  • 西側:歩道付き道路 集合住宅
  • 東側:道路 集合住宅

主な要求室等

基準階(3~5階)

  • 療養室(4人室)
  • 療養室(個室)
  • 食堂
  • サービスステーション
  • 浴室

基準階以外

  • エントランスホール
  • レクリエーションルーム
  • 事務室
  • 機能訓練室
  • 食事・デイルーム
  • 厨房
  • 浴室
  • 設備スペース

外部施設

  • 送迎用車寄せ
  • 駐車場(福祉車両用 2台 車いす用 1台 サービス用 1台)

特徴的な留意事項

  • 避難等に配慮(この年以降、毎年記載)
  • 共用部は自然光を積極的に取り入れる
  • 敷地周辺環境に配慮
  • 空調は空冷ヒートポンプパッケージマルチ型指定
  • 受水槽方式指定
  • 災害時の機能維持に配慮

出題内容

平成23年は、計画の要点等として8問出題されました。

設問内容分野
(1)駐車場、車寄せの配置と動線計画
(2)レクリエーションルームの配置と動線計画
(3)療養室の配置と動線(避難計画含む)計画
(4)建築物の構造、架構、スパン割り構造
(5)スラブ、小梁の架け方構造
(6)空調、給排水、電気設備の光熱費削減設備
(7)受水槽と電気設備の配置と維持管理等設備
(8)災害に対する設備計画設備

(1)駐車場、車寄せの配置と動線

建築物へのアプローチに関する問題です。高齢者や車いす使用者の動線に配慮したことを記述します。

主出入口は西側の歩道付き道路に面して計画することになりますので、車寄せや車いす用駐車場も西側とし、利用者の動線が短くなるようにすることを記述します。

また、サービスアプローチを東側道路からとした場合は、利用者アプローチと分離し動線交錯を防ぐことを記述します。

(2)レクリエーションルームの配置と動線

レクリエーションルームは1階指定で、「明るく開放的」とありますので、日照等に配慮することを記述します。

また、動線の配慮として、エントランスホールやEVホールから視認しやすい配置とすること等を記述します。

(3)療養室の配置と動線(避難計画含む)

室の快適性や利用しやすい動線となるよう配慮することを記述します。

避難については、歩行距離及び重複距離、直通階段の配置で配慮したことを記述します。

(4)建築物の構造、架構、スパン割り

近年も、毎年必ず出題される項目です。自分のプランに合致していることを十分確認し、暗記した定形文で対応します。

(5)スラブ、小梁の架け方

スラブはたわみに配慮し、スパンの1/2程度の位置に小梁を配置することを記述します。

また、浴室の防水に配慮し、スラブ下げを行うことを記述します。

(6)空調、給排水、電気設備の光熱費削減

空調設備、給排水衛生設備、電気設備における光熱費削減に関する問題です。

削減項目を選択肢から選んで、「設備方式・手法」と「具体的な削減効果」を記入します。解答欄はそれぞれ1行で、簡潔に記述することが求められました。

削減項目の選択肢は、電気料金、水道料金及びガス料金です。

主な方式・手法としては、全熱交換器、LED照明、節水型器具等の採用があります。

(7)受水槽と電気設備の配置と維持管理等

受水槽と給水ポンプは、1階に設備機械室を計画するのが一般的です。給水ポンプに防振架台を設ける等、振動・騒音対策を施すことを記述します。維持管理面については、日常点検や機器更新への配慮を記述します。

電気設備は電気室を計画するか屋外に配置します。キュービクルからの振動・騒音への配慮を記述するほか、受水槽給水ポンプと同様に日常点検や機器更新について記述します。

(8)災害に対する設備計画

地震等の災害に対して、「設備の損傷防止」、「停電」、「断水」から2つ選択して対策を記述するものです。停電や断水は「3日程度を想定」と記載がありました。

「設備の損傷防止」に対しては防振架台や可とう継手等、「停電」に対しては自家発電設備、「断水」に対しては受水槽の貯留水利用が考えられます。

まとめ

以上、平成23年の計画の要点等についてまとめました。

利用者が寝泊まりする施設であるため、「避難」、「騒音・振動」、「災害対策」というように、滞在する高齢者等への配慮に関する問題が多くなっています。

構造分野について、「スラブ・小梁の架け方」は、類似問題が出題されていますので、しっかり理解しておく必要があります。

設備分野については、問われ方が具体的であるため、問題文をよく読み聞かれていることに適切に答えることが重要です。

◆過去問

Posted by もち