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【一級建築士製図試験】計画の要点等 過去問分析(平成21年)

2022年9月17日

計画の要点等がA3解答用紙で問われるようになって10年が経過しました。近年の試験では、8割程度は過去と類似した問題が出題されます。

よって、過去問対策が重要ですので、これまでにどんな問題が出たのか見ていきます。

本日は平成21年「貸事務所ビル」です。

概要

1階に貸展示スペース、基準階に貸事務スペースのある、地下1階地上7階建てのビルを計画するものです。

敷地条件

  • 北側:歩道付き道路 商業施設
  • 南側:道路 一戸建て住宅
  • 西側:道路 公園
  • 東側:集合住宅

主な要求室等

  • ショールーム(1階)
  • 貸事務室(基準階)
  • ショールーム事務室
  • 喫茶室
  • 設備スペース

外部施設

  • ターンテーブルとカーリフト
  • オープンスペース
  • カフェテラス
  • 車いす使用者用駐車場1台、サービス用駐車場1台

特徴的な留意事項

  • 貸事務室は収容性、快適性に配慮
  • 耐力壁を設ける
  • 排煙設備を設ける

出題内容

平成21年は、計画の要点等として10問出題されました。

設問内容分野
(1)建築物の外部動線、内部動線計画
(2)オープンスペース及び住宅地への配慮計画
(3)貸事務室の計画計画
(4)建築物の構造、架構、スパン割り構造
(5)耐震計画への配慮構造
(6)空調方式、採用理由設備
(7)設備スペース、設備シャフトの配置設備
(8)貸事務室の照明計画設備
(9)排煙計画設備
(10)建築物の環境負荷低減環境

(1)建築物の外部動線、内部動線

近年も頻出の動線計画に関する問題です。解答欄は外部と内部を分けて記入するように用意されました。

外部動線は、幅員の広い北側道路からアプローチすることを記述するほか、車いす用駐車場や機械式駐車場への配慮を記述します。

内部動線は、出入口から1階玄関ホールに入り、各室へ向かう動線について配慮したことを記述します。また、管理動線と利用者動線の分離についても記述するとよいでしょう。

(2)オープンスペース及び住宅地への配慮

オープンスペースと住宅地でそれぞれに解答欄が用意されました。

オープンスペースについては、設計条件に「敷地周辺に開放された」とあるので、外部から利用しやすいよう工夫したことを記述します。

住宅地については、プライバシーや騒音に配慮したことを記述するとよいでしょう。

(3)貸事務室の計画

収益性、快適性、フレキシビリティ等への配慮が問われました。

収益性については、基準階有効率やコア配置に関して記述します。

快適性については、採光を確保して明るい空間とすること等を記述します。

フレキシビリティについては、柱や壁の配置、床下配線等の計画を記述します。

(4)建築物の構造、架構、スパン割り

近年も、毎年必ず出題される項目です。自分のプランに合致していることを十分確認し、暗記した定形文で対応します。

(5)耐震計画への配慮

設計条件に「耐力壁を適切に設置」とありましたので、耐力壁の配置計画を記述します。また、建築物の平面形状についても記述するとよいでしょう。

(6)空調方式、採用理由

建築物に採用した空調方式が問われました。解答欄は、採用した空調方式と採用理由の欄が分けてありました。

採用方式は空冷ヒートポンプパッケージが妥当で、採用理由として個別制御について記述すればよいでしょう。

(7)設備スペース、設備シャフトの配置

設備計画が適宜であったため、解答が分かれる問題です。各自が選択した設備計画に沿って記述します。

電気設備は、電気室に配置するか、屋上に配置するかでそれぞれ配慮したことを記述します。また、EPSの配置についても記述します。

給水方式は採用した方式によって、機械室を計画するか分かれます。PSの配置については、排水用や空調用として配慮したことを記述します。

(8)貸事務室の照明計画

照明設備の照度や配置について問われました。

照明計画については具体的な数値を記述するのが望ましいですが、「均一な照度」や「バランスよく配置」等の文言でもよいでしょう。

また、省エネへの配慮についても記述します。

(9)排煙計画

自然排煙か機械排煙かを決め、それぞれの特徴を記述できればよいでしょう。また、排煙口の設置位置等、施行令で定められた内容を少し記述します。

(10)建築物の環境負荷低減

近年の環境負荷低減についての問題は、パッシブデザインに限定されていますが、平成21年は特に指定はないので、設備に関する記述でもよいです。

日射負荷抑制のためのルーバー、Low-Eガラスや屋上緑化について記述するほか、省エネ対策として節電や節水に配慮した器具の採用について記述します。

まとめ

以上、平成21年の計画の要点等についてまとめました。

平成21年は本格的な記述問題が始まった最初の年ですので、素直な問題が多い印象を受けます。解答欄も単なる罫線で構成されており、解答の自由度は高かったといえます。

また、近年に比べ設備の出題数が多いのもこの年の特徴です。設備問題の対策には参考になるでしょう。

◆過去問

Posted by もち