【一級建築士製図試験】計画の要点等 建築物内部の配置と動線計画

「計画の要点等」では、自分のプランに関して、建築物内外の配置と動線計画について考慮したことを、ほぼ毎年問われています。
本日は、「建築物内部の配置と動線計画」についてまとめます。
問題
レストランの計画において、その位置とした理由と動線計画について工夫したこと
宿泊部門の計画において、避難を含む動線計画について考慮したこと
スポーツ部門の計画において、履き替えを踏まえた動線計画について考慮したこと
解説
建築物内部の配置と線計画については、過去に下記のパターンが出題されています。
- 建築物全体の動線計画
- 特定の室をその配置とした理由と動線計画
- 2番のうち「搬出入」や「避難計画」を含むもの
- 利用者とスタッフの動線計画
- 履き替えを踏まえた動線計画
過去の主な出題例
平成21年「貸事務所ビル」
建築物の外部動線及び内部動線について配慮したこと
平成22年「美術館」
収蔵庫について、その配置とした理由と動線計画について工夫したこと(搬出入経路等含む)
平成23年「介護老人保健施設」
レクリエーションルームについて、その配置とした理由と動線計画で工夫したこと
平成25年「大学のセミナーハウス」
研修部門の各室について、その配置とした理由と動線計画で工夫したこと
平成27年「デイサービス付き高齢者向け集合住宅」
デイサービス部門において、利用者・スタッフ等の動線と要求室の配置について考慮したこと
平成28年「子ども・子育て支援センター」
「はきかえ(上足・下足)」に配慮した動線計画について考慮したこと
建築物内部の動線計画
一級建築士製図試験において、建築物内部の配置と動線で留意すべき点は、下記のとおりです。
- 利用しやすい、分かりやすいこと
- 室や部門が視認しやすく、アクセスしやすいこと
- 利用者とスタッフの動線交錯がないこと
これらのうち、自分のプランに合うように文章を選んで記述します。
対象室がエントランスホールやEVホールに面していれば、1番と2番が記述できます。
レストランは来館者が気軽に利用できるように、エントランスホールに面して配置した。
利用者ゾーンと管理ゾーンを明確に区分できており、利用者とスタッフの動線がぶつからないように計画できていれば、3番の記述ができます。
管理ゾーン内に厨房への通路を確保することで、利用者とスタッフの動線交錯がないように配慮した。
搬出入や避難を含む動線計画
美術館や図書館等、搬出入を考慮する必要がある設計課題の場合、またレストランの食材搬入等がある場合、配置と動線計画で留意すべき点は下記のとおりです。
- 搬出入経路と利用者動線が交錯しないこと
- 作業の利便性がよいこと
開館時間に美術品や図書の搬入を行うためには、管理部門内に経路を確保して、利用に支障がないように配慮する必要があります。
また、管理用EVを設置することで、2階以上に荷物を運びやすくなります。作業室系は、目的室に近接することで利便性に配慮できます。
これらのうちうまく計画できている点について、1,2番のような記述をします。
管理ゾーン内に厨房への通路を確保し、食材等の搬出入に配慮した。
なお、必ずしも開館時間に搬出入を行わない場合、「閉館時間に利用者出入口から搬出入を行う」のように計画に合った記述をすることができます。
次に避難経路を含む動線計画について、留意すべき点は下記のとおりです。
- 二方向避難ができること
- 廊下の見通しがよいこと
- 出入口や避難口が分かりやすいこと
2階以上の階であれば、2つの直通階段をバランスよく配置することにより、階段までの歩行距離と重複距離を短くすることができます。
避難階であれば、建物出入口や避難口が視認しやすいように計画することで、スムーズに避難することができます。
また、極力まっすぐな廊下を計画し、見通しをよくすることで、安全に避難することができます。
宿泊部門の廊下は直線で計画し、両端に直通階段を設置することで、安全に2方向避難できるように考慮した。
履き替えを踏まえた動線計画
スポーツ施設等、履き替えや更衣が必要な設計課題の場合、動線計画で留意すべき点は下記のとおりです。
- 上下足ゾーンの境界が分かりやすいこと
- スムーズに履き替えができること
- 利便性がよいこと
上下足ゾーンの境界は、線を引いたり、床の素材を変えることで分かりやすくすることができます。
スムーズな履き替えを行うには、下足箱を利用者の動線上に配置し、靴の出し入れを行いやすくする方法が考えられます。
また、履き替えや更衣をしたあと、それぞれ目的の室に移動することが想定されますので、更衣室は1階に配置するのが望ましいでしょう。
2階に更衣室を配置して、2,3階の室を利用する場合は、EVホールに近接することで利便性に配慮できます。
これらのうち、うまく計画できている点について、1~3番の記述でアピールします。
スポーツ部門は上足利用であるため、床に線を引き明確に区分することで、利用者に分かりやすいように配慮した。
まとめ
以上、建築物内部の配置と動線計画についてまとめました。
配置、動線等の計画分野の記述は、「わかりやすい」や「動線交錯がないように」等、お決まりのワードを自分のプランに合わせて記述します。
プランと記述の整合をよく確認して、矛盾がないように記述しましょう。
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