【一級建築士製図試験 計画の要点等】防火区画と延焼のおそれのある部分

一級建築士製図試験において、平成30年以降、防火区画及び延焼のおそれのある部分に留意して計画するように求められています。
今回は、防火区画と延焼のおそれのある部分について、基本的な考え方と記述問題での解答方法を解説します。
防火区画 面積区画 竪穴区画 延焼のおそれのある部分 防火設備 特定防火設備
解説
面積区画
耐火建築物または準耐火建築物で、延べ面積が1,500㎡を超えるものについては、1,500㎡以内に、床・壁を耐火構造(もしくは1時間以上の準耐火構造)で区画するとともに、開口部には特定防火設備を設ける必要があります。
製図試験では鉄筋コンクリート造を採用することが多いです。鉄筋コンクリート造は耐火建築物に該当しますので、1,500㎡以内に面積区画をしなければなりません。
竪穴区画
耐火建築物または準耐火建築物で、地階又は3階以上の階に居室がある建築物については、階段および吹抜けの部分とその他の部分を防火設備で区画する必要があります。
また、竪穴区画と面積区画を兼用する場合には、防火設備ではなく特定防火設備で区画します。


延焼のおそれのある部分
防火地域・準防火地域では、道路中心線もしくは隣地境界線からの距離が、1階で3m以内、2階以上で5m以内となる場合には、外壁の開口部に防火設備を設ける必要があります。
ただし、防火上有効な公園、広場、川等の空地、水面、耐火構造の壁などに面しており、延焼の恐れがない場合には、開口部に防火設備を設ける必要はありません。


防火設備
防火戸やドレンチャー(外壁のスプリンクラー)などの火炎を遮る設備を防火設備といいます。開口部を遮るために設ける外壁、そで壁、塀なども防火設備に該当します。
延焼のおそれのある部分に開口部がある場合には、窓を網入りガラスとします。
特定防火設備
防火設備の防火性能を強化したものが特定防火設備です。特定防火設備は1時間以上、防火設備は20分以上の遮炎性能が求めれらます。
区画貫通部の処理
換気設備や空調設備のダクトが防火区画を貫通する場合には防火ダンパーを設ける必要があります。防火ダンパーは保守点検ができるように点検口を設けるようにします。
給水管、排水管等が防火区画を貫通する場合は、貫通部の配管を不燃材料とし、モルタルなどの不燃材料で隙間を埋めるようにします。
過去の出題と解答例
平成30年
防火区画(面積区画・竪穴区画)をどのように区画形成したか具体的に記述する
解答例
- 床面積が1,500㎡以下となるように、各階を水平区画した。
- 階段、EVホールおよび吹抜けは、竪穴区画と面積区画を兼ねるため、特定防火設備の防火シャッターおよび防火扉で区画した。
- 区画貫通部のダクトは、防火ダンパー付とした。
- 区画貫通部の配管は、周囲の隙間にモルタルを充填した。
まとめ
防火区画では似たような用語が多く混乱しやすいので、用語を正確に覚えるようにしましょう。
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