【おしらせ】

記述研究所はnoteに引越しました。こちらへ

一級建築士試験の都市伝説!?敷地境界線を書き直したら一発アウトか

2022年9月17日

こんばんは。記述研究所のもちです。

本日は、私が解明した一級建築士製図試験にまつわる都市伝説についてお話ししたいと思います。

一級建築士製図試験の作図用紙について、こんな話を聞いたことがありませんか?

  • 作図場所を間違えても、図面タイトルを書き替えて合格した人がいる
  • 印刷された境界線に「道路境界線(〇m)や隣地境界線(〇m)」と書かないといけない
  • 印刷された方位を鉛筆でなぞらないといけない

このように、作図用紙にあらかじめ印刷されているものについては、諸説あるようです。

今回のテーマは、そんな作図用紙について、「印刷されている敷地境界線を別の場所に書き直したら一発アウトになるか?」というものです。

よろしければお付き合いください。

境界線書き直しは一発アウトではない

結論からお話ししますと、作図用紙に印刷されている敷地境界線を書き直してもランクⅣ、すなわち一発アウトにはなりません。

根拠は、私が実際にやったからです。

それも合格した年にです。

ランクⅡ、Ⅲどころか、合格できましたので、重大な減点ではなかったようです。

なぜ書き直したのか

私が敷地境界線を書き直した理由は、車いす使用者用駐車場の寸法不足に気づいたからです。

敷地ヘリアキ7mのところに、幅3.5m以上必要な車椅子使用者用駐車場を2台分書こうとしていました。

建物の外壁センターから7mだと、外壁や柱の外面からは3.5×2=7mが確保できません。

バリアフリー法違反は確実でした。

このヘリアキ不足に気づいたのは、残り1時間くらいのときでしたので、図面を書き直していては到底間に合わない状況でした。

悩んだ末、なんと、ヘリアキ不足解消のためだけに、印刷されている敷地境界線を「×」で消して、1mずらした場所書き直しました。

「えっ!そんなことで!?」と思いますよね。

普通に考えたら、「バリアフリー法違反なんて、小さな減点ですむ」と割り切ってそのままにすると思います。

しかし、私が受験したときの問題文には、この一文がありました。

「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に規定する特別特定建築物に該当し、「建築物移動等円滑化基準」を満たすものとする。

この一文を重く受け止め、境界線書き直しという思い切った行動に出てたのでした。

製図試験本番というプレッシャーのなかでは、些細なことが気になって、普段ではやらないようなことをやってしまうものなんだと実感しました。

書き直したから合格したのか、書き直さなくても合格できたのかは分かりませんが、敷地境界線を書き直しても一発アウトではないということは証明されました。

どんなふうに書き直したのか

実際には、写真のように書き直しました。

再現イメージ(北側)
再現イメージ(南側)
  • 印刷された境界線を「×」で消して、1mずらした場所に太めの線で
  • 寸法線もすべて修正
  • 「道路境界線」「隣地境界線」は書き直し忘れ
  • 歩道の切り開きは書き忘れ

書き直していることを確実にアピールするため、寸法線だけはしっかり書くことを意識しました。

振り返ると、ほかの部分でけっこう書き忘れがあったのに合格できたので、建物の位置さえわかればOKなのかなと思います。

ヘリアキ不足に気づいたそのとき、、、

先ほども少し書きましたが、私がヘリアキ不足に気づいたのは、残り1時間くらいのときでした。

次のようなことを考えながら、しばらく悩んでいました。

  • 図面を書き直していたら、確実に時間切れになる
  • ヘリアキ不足を解消するには、敷地境界線を書き直すしかない
  • 軽微な減点ですむかもしれない
  • 重大な減点を取られるかもしれない
  • これが合否を分けるポイントになるかもしれない

ここで、恐らくほとんどの人はそのままにすると思います。しかし、私の頭にはあることがよぎっていました。

「2階平面図と3階平面図の作図場所を間違えてしまい、図面のタイトルを矢印で入れ替えて合格した人」実在することを、人づてに聞いて知っていたのです。

図面タイトル入れ替えがいけたのなら、敷地境界線書き直しもいけるのではないか?と考えました。

悩んだ末、「守りに入っては勝てない、攻めるしかない!」と実行に移しました。

試験終了、そして合格発表

ただでさえ時間がない中で、悩むのに時間を使ってしまいましたので、最後はギリギリの戦いでした。

何度も「今年もダメなのか?」という考えが浮かびましたが、同時に頭にひびいたのは、あの有名なセリフでした。

安西先生に力をもらった私は、「まわりも苦しんでいるはずだ。完成させて、採点の土俵に乗ればチャンスはある。」と信じて、何とか最後までやりきることができました。

試験終了後はしばらく放心状態で、「また来年もか~」とかなり落ち込みました。

そして、合格発表の日。合格している気がしなかったので、なかなか試験元ホームページの合格発表を確認することができませんでした。

確認できないまま仕事をしていましたが、私が打合せをしていると、遠くで上司が親指を立てているのが見えました。

思わず打合せを抜けて確認すると、本当に自分の名前がありました。

とてもうれしかったと同時に、「これで開放される」と、ほっとしたのを覚えています。

まとめ

私の体験をもとに、作図用紙の都市伝説についてお話ししました。今後、どうなるかは分かりませんが、次のようなことが言えます。

  • 敷地境界線を書き直しても一発アウトではない
  • 「道路境界線表示」や「歩道切り開き」の記入漏れは重大なミスではない

正直、図面に関しては、ほかにも結構ミスしています。(庇、敷地の歩行者出入口▲、断面図の設備等の記入漏れ)

それなのに合格できたのは、記述で点数を稼げたのではないかとも思っています。記述はけっこう手ごたえがありましたので。

そして、この試験を通じて学んだのは、最後まであきらめずにやりきればチャンスはあるということです。

あのとき、勇気をもって行動し、最後まであきらめなくて本当に良かったと思います。

今後、一級建築士製図試験を受験する方があきらめそうになった時、安西先生とこのブログを思い出して、最後まで戦い抜いてくれたらうれしく思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

テーマが都市伝説なので、これだけは言わせてください。

信じるか信じないかは、あなた次第です!

◆番外編

Posted by もち